ゴミ項目/ヤマダタロウ先生のWeb小説「ウエダシンヤ」

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ヤマダタロウ先生の最新作はこちら!!!
糞wikiがこれ以上更新を受け入れてくれないので番外編、また三十七話以降はこちらにまとめます。

YamaOlaf.jpg

【お知らせ】
毎度ウエダシンヤをご愛読いただき、誠にありがとうございます。

最近のウエダシンヤ先生の作品について、お詫び申し上げます。

ウエダシンヤ先生は近年、ホルモンバランスの崩れからくる不調に悩まされておりました。

そのため、このたび思い切って去勢し、ホルモンバランスの

第一話 コミュ症と豆腐メンタリスト

 カーテンの隙間から淡い光が差し込んできた。
気がつけばまた朝までPCの前に座っていたヤマダは、何度したか分からない後悔に目をしょぼつかせながら部屋を出た。
手早く歯を磨いて顔を洗ったあと、しわだらけの制服に袖を通す。朝食は取らない。
すぐに腹痛がやってきてトイレにこもるはめになるため、時間に余裕を持てないヤマダはすぐに家を出た。
学校までは主に自転車で通う。雨の日などはバスに乗るのだが、公共交通機関を利用するのは苦手だ。
 朝の陽ざしを受けながら踏みこむペダルは非常に重い。大通りに出ると、いろいろな学生服がちらほらと目に入り始める。その中の一人に近寄り、声をかける。

「おはよう。」 

ヤマダに声をかけられた同じ歳であろう男がこちらに顔を向ける。

「いいよ。」

おはよう、というあいさつに対して、珍回答を返した男は、ヤマダの数少ない友達である。
通称格さん。この格さんもまた、その不可解な性格のために友達が少ない。

「は?いいよっつってんじゃん。わっかんねえやつだな。」

ほとんど息継ぎもなしにまくしたてる格さんのこの剣幕に、近づく人はみな離れて行ってしまう。

「ああ、うん。いいよ」

「やったあ!!!!」

ほとんど毎朝の恒例となったこのやりとりを済ませ、二人は並んで走り出す。
一部分を除けば、この格さんも実は普通の人なのだ。他愛もない会話を交わしながら学校へと向かっていく。
朝日はいよいよ眩しくなってきていた。

 午前の授業の終了を告げるチャイムが鳴り、校舎が一斉に騒がしくなる。ヤマダと格さんは教室で弁当を広げていた。

「そういや昨日は寝落ち?」

ヤマダがそう聞くと、格さんは弁当から顔を上げた。

「いや、通話してると勉強集中できないから。」

格さんは再び弁当に視線を落とし、たまごふりかけの乗ったご飯に箸を運ぶ。

「うわ、そんなガリ勉だっけお前」

格さんがうっとうしそうに顔をあげ

「違うよ。英語の宿題あったじゃん。」

と言い捨てた。

「お前終わったのかよ」

「そんなのあったっけ」

「は?ざこかよ」

ヤマダは英語の宿題が出ていたことなど知らなかった。授業のほとんどを寝て過ごしているからである。

「は~まじかよどうしよ・・・」

コミュニケーション能力に欠けるヤマダは、「宿題忘れました」と言う勇気など持ち合わせていない。

「あ。」

そそくさと弁当箱を片付けたヤマダは、教室の隅で弁当を食べていた男に駆け寄った。

「まひょ君英語の宿題写させて!」

まひょくんと呼ばれた男は、ため息をつく。

「しょうがないなぁ。いいよ。」

ヤマダの友達にはこんなのしかいない。まひょ君が取りだしたノートには、達筆で英文が記されていた。
本名まひふよ。帰国子女であり、英語の成績はトップクラスである。
その上、陸上部に所属しそのルックスにも定評があり、一部の生徒には絶大な人気を誇っていた。
「一部の生徒」というのも、やはり格さんと同様の性格をしているまひょ君は、それだけで近寄りがたい存在なのだ。
その「一部の生徒」はとてもコアなファンなのである。
一見クールな性格のまひょ君だが、それもコミュ障なだけだ。
ヤマダはまひょ君を友達としているが、まひょ君はヤマダをどう思っているかは分からない。
少なくとも嫌われてはいないようだ。

「あー・・・ごめんまひょ君。おれ筆記体読めないわ・・・。」

完璧なまでに達筆で記されたそれは筆記体だ。
普通の自体の英文ですら解読できるかどうかのヤマダにはもはや単語すら読み取れなかった。
口の周りをふりかけだらけにした格さんがこちらにやってくる。

「なんでおれに宿題見せてって言わないの?あーもうまたそうやっておれのことを」

「は?いいよ」

格さんのこの言いまわしに対応できるのはきっとこのまひょ君だけなのだろう。
さらりと謎のやりとりを交わしている。天才と変態は紙一重、とはよく言うが、まさにこのことなのだろうか。
実際、まひょ君も格さんも成績は常に上位。ヤマダは人の手を借りないと宿題もまともにできなかった。

「じゃあ格さんのでいいよ。見せて」

「いいよやったあ!!!!!!!」

格さんは奇声をあげてノートを差し出してきた。
宿題の内容は完璧なのだが、ページの端には落書きが目立つ。
「はげうんこまん」、奇怪なキャラクターが、ヤマダを小馬鹿にするようにこちらを見つめていた。
結果的に、宿題を無事に終えたヤマダはクラスメイトの前で恥をかかずに済んだ。
しかし格さんは『この「はげうんこまん」というのは、なかなかユニークですね』という先生のジョークで精神的ダメージを負っていた。

「なんやあいつ絶対頭おかしい・・・」

ぶつぶつと格さんが呟いている。

「お前の頭がおかしいよ・・・はげうんこまん消してから提出するだろ普通」

「わざわざそれみんなに言うことないやろ・・・頭おかしい・・・」

意外にメンタルは弱い。

「しんで」

まひょ君は表情を変えずに格さんをなじる。
これはまひょ君なりのジョークなのだが、周囲にはこのクールな表情からこの言葉を繰り出すまひょ君が鬼のように見えるだろう。

「あーーーもういいよもう帰ってマイクラやるよもう。はーーーーー。」

自転車の鍵を外した格さんはさっさと走り去ってしまった。
残されたヤマダとまひょ君はゆっくりと歩きだす。
まひょ君はバス通学が主なので徒歩だ。ヤマダが自転車を押しながら隣を歩く。

「まひょ君は今日どうする?帰ってマイクラ?」

「いや、今日はこれからヒトカラかな。」

「あ、そう。じゃあまた夜にでも」

「いいよ」

正門前のバス停まで来た所で、ヤマダは自転車をこぎ出す。
この時間でもまだ日は高い。自転車をこぐ体が汗ばむ夕暮れ、夏はもうすぐそこまで迫ってきていた。

第二話 マインクラフト

晩御飯を食べ終えたヤマダは、再び自室のPCの前に戻ってきた。

「みんな~~~」

スカイプ通話を通してグループのメンバーに呼び掛ける。
この会議に参加しているメンバーは、普段全く会話に参加しようとせず、クリック音を垂れ流しているため、ヤマダのさりげない一声が必要なのだ。

『いいよ』

先に答えたのは格さんだった。
その声色からうかがえるテンションの低さは、いまだ落書きの件を引きずっているのだろう。
くそ豆腐メンタルチキン野郎だ。

『ヒューマンかな』

『ヤマダ殿じゃん』

続いてまひょ君が反応。相変わらずまひょ君のマイクからはヘリコプターの音が聞こえてくる。

スカイプ通話をしながらのマインクラフトは非常に動作が重くなる。
少なくともヤマダとまひょ君にとっては致命的な問題だ。
まひょ君のマイクから聞こえてくるヘリコプターのような音は、限界を超えんとしているPCの悲痛な叫びなのだ。

そのまひょ`s PC screamに混ざって、ずるずると麺をすする音も聞こえてくる。
いままさに食事中なのはこの会議の紅一点、謎の美少女ちあきである。

「ちあきそれラーメン?」

ヤマダが溶岩の中にいらないアイテムを放り込みながら聞く。
『うん!ラーメンおいしいよね』天使のような美少女ボイスと共に咀嚼音が響く。
しかしまひょ君のPCも負けてはいない。

『まひょ君うるさいよしんで』

その格さんの言葉に返事は来なかった。まひょ君がエラー落ちしたからである。

『まひょ君またエラー落ちしてるじゃん。雑魚かよ』

アネットさんかな』

まひょ君が復帰してくる。

アネットさんの胸の間で蒸れた手紙を受け取りたいかな』

ネット上での彼は気持ち悪い。

『ちょっと!エッチな話は禁止だよ!』

ちあきがラーメンを食べながら憤慨する。かわいい。
そしてしばらく猛烈にむせ込んでいた。鼻に麺でも入ったのだろうか。
興奮する。

『あーもうまひょ君はすぐそうやって女の子の前でも下ネタ言っちゃうんだ。反省して』

『ええ加減にせえよ~まひょ君。殺すぞほんまに~』

格さんに続いてらうすが参加した。
彼が会話に参加していないときは、大体サーバーに追加するプラグインを探している時である。

いわゆるホワイト企業に勤めているらうすは、夕飯の時間には退社してこの通話に参加している。
この通話唯一の社会人である彼の生活リズムは、ヤマダ達とあまり変わらない。
会話をBGM代わりに地面を掘り進んでいたヤマダだったが、途中で大きな空洞に差しかかった。
鉱石が山ほどありとても魅力的だが、その分モンスターも大量に襲いかかって来る。

「みんなーーーー!!!!!!!!!!」

ヤマダの奇声が夜にこだまし、今日もまた無駄な時間が過ぎて行くのだった。

第三話 まひふよバイト編

※実はらうすは社会人ではなく1つ上の先輩だった

「僕、バイト始めたんだ」

ある日突然、聞いてもいないのにまひょ君がそう言った。

「始めてないよ」

格さんが真顔でそう返す。しかしまひょ君もこれには取り合わない。
何のバイトしてるの?と聞いてほしそうな顔だ。

「何のバイトしてんの?」

仕方なくヤマダはそれを口に出す。

「郵便配達のバイトかな」
「始めてないつってんだろ!」
「格さんうるさいよ」

どうやらまひょ君は近所の郵便局で配達員のバイトを始めたようだ。

「なんで郵便局?」

ヤマダは片手間に格さんをあしらいながら、まひょ君の希望に答えるようにして質問を続ける。

 とある休日、まひふよは日課であるオタショップ巡りを終え帰路についていた。
ぶら下げた紙袋にちらりと視線を落とし、本日の戦利品に顔をほころばせていると、不意に何かが彼の体を突き飛ばした。

「あっ!ご、ごめんなさい!ダイジョウブ?」

思わず尻もちをついたまひふよに、妙になまった日本語で声がかけられた。
顔をあげると、そこには小柄な少女が申し訳なさそうな顔をして立っていた。
目の色、ブロンドの髪、なまった日本語からして外国人だなとまひふよは思った。

「ああ、いえ、僕が前見てなかったから・・・」

努めて平気を装って立ち上がるまひふよだが、実際尻がとても痛い。

「ホント、ごめんなさい・・・あ」

見ると、紙袋の中身が散らばっていた。
さらに申し訳なさそうな顔でそれを拾おうとする少女。

「あ、あ、それ、あの僕拾うから!」

中にはコアなものもあり、まひふよも負けじと散らかった戦利品を拾うが、いかんせん少女のほうが手際がいい。
いつの間にか拾い上げ、どうしたものかと胸に抱えている。

「ありがとうございます。すみません拾わせちゃって」
「私、あの、まだ、配達があってその・・・」

そわそわと時計を確認する少女の肩には大きなカバンがかかっている。配達、郵便局の人だろうか。

「拾っていただいたので、大丈夫です。あとは自分で持って帰りますんで」

ひふよは早く取り返したくて仕方がない。

「えと、ここ、私の勤めている郵便局で・・・明日ならまたいマス!」

ぽんっとまひふよに荷物を返した少女は、小さな紙に郵便局の名前を書いて走り去っていった。
それから気づけば部屋に戻っていたまひふよ。
どうやって帰って何をしていたのか分からないが、手には昼間に少女からもらったメモがあった。

「明日、行ってみるか」

落ち着かないまま、まひふよは寝た。

翌日、まひふよはメモを頼りに郵便局へ訪れていた。
小ぢんまりとした局内のカウンターに、少女はいた。

「あ、昨日の人! 昨日はゴメンナサイ!」

少女はまひふよの姿を見とめるなり、ぎこちなく頭を下げる。

「え、あの、こちらこそ・・・」

釣られてまひふよも頭を下げた。

話を聞くと、どうやら少女は最近日本にやってきて、この辺りに住んでいるらしい。
どこの国から来たかは教えてもらえなかったが、向こうでも配達の仕事をしていたそうだ。

配達は自分の足で行うというこだわりを持っており、その条件で採用してくれたのがこの郵便局だったという。

「ここって、まだバイト募集してますか?」

無意識にまひふよはそう聞いていた。すぐにそれを後悔したが、奥から局長とおぼしき年配の男が出てきた。

「君、明日から来れる?」
「は?」
「明日から来れるかって聞いてんの」
「いや、あの・・・」

どうやって断ろうか思案していると、何かを期待している少女の視線に気づいた。
そしてまひふよは郵便配達のバイトを始めた。

「っていう感じかな」

まんざらでもない様子で語り終えたまひょ君は、どこかにやけているようにも見える。

「その子なんて名前なの?かわいい?歳いくつ?」

早口でまくし立てるのは、隣のクラスのうえだ。
休み時間になるとこうしてこちらのクラスに顔を出す。

「落ち着けつってんだろ!」
「格さんうるさいよ」
アネットさんだよ」
「は?」
「女の子の名前ね。」
「うわ~、本物の外国人じゃん!」

郵便配達の少女、アネットさんは、その容姿から年下に思えたが、実は同年代だった。
なんとか女学院とかいう、お嬢様学校に通っているらしい。
誰しも名前だけは聞いたことのあるような名門だった。

「なんでそんなお嬢様がダッシュで配達員してるの?」

うえだはアネットさんに食いついている。

「好きでお嬢様やってるわけじゃないらしいよ」

なんで偉そうなんだこいつ。

とにかくまひょ君はアネットさんにぞっこんらしい。
アネットさんに憧れて、まひょ君も無い体力を振り絞ってダッシュで配達しているのだとか。
この日はまひょ君のバイト話で盛り上がった。

第四話 転校生

ある日転校生がやってきた。大阪からこの新しい町にやってきたのだという。

「え~、さ○むらです。趣味はLOLと風俗巡りです。なかよくしよな~」

この自己紹介に、新しい風メンツはピンときた。
というのも、最近の新しい風ではLOLがメインになっていたからだ。

「さわ○らくんってLOLやってるんだ」

朝礼が終わると、すぐさまヤマダは声をかける。

「え、おれメガネかけてへんよ」

さわむ○くん、大丈夫かな?
ヤマダが心配していると、

「ARAM部~~~!」

格さんがやってきた。
格さんはノーマル嫌いでARAMしかやっていない。

「格さんうるさいよ」
「は?w 人数集まったら呼んで」

そう言って格さんは席に戻った。

「なんやあいつwww」
「格さんだよ。一緒にLOLやってるんだ。さわ○らくんもどうかな?」
「わいはみっく」
「え?」
「わいはみっく」

「なるほどね」

郵便配達が板についてすっかりムキムキになったまひょくんがやってきた。

「つまりさ○むらくんのサモナーネームのことだよ。だよね?『みっく』くん」
「なんやこいつwwww」

みっくくんは足だけ胴体並に太いまひょくんを見て笑っている。

「そういうの傷つくから」

言うが早いか、まひょくんが繰り出した丸太のような蹴りでみっくくんは吹っ飛んでいた。

「あ~イキそ・・・・あ~~~~~誰が助けてくれ!?!!?!」

転校初日にまひょくんを怒らせてしまったみっくくん。果たしてこれからどうなるのだろうか・・・。

次の日、みっくくんが入院したという話を聞いた。十中八九まひょくんのせいだろう。
おちんちんにカテーテルを装着してないと勝手に漏れ出してしまうらしい。

「みっくくん大変だな~」
「意外と入院する男『みっく』」

相変わらず格さんは何を考えているのか分からない。

その日の夜、新しい風会議に参加すると、みっくくんがいた。

『みっくくんじゃん。どうやって?』
『格さんがID聞いたらしいよ』

プロか?いつの間にそんなことを・・・。

『”らうすに聞いたでしょw”』

これは格さん。いつの間にかチャットメインになってしまった。

『いや~ほんまにまひょくんの蹴りあかんよあれ~(小声)』

どうやらみっくくんは病室でこっそりスカイプをしてるらしい。クズかこいつ。

『でもなんでらうすは知ってたの?』
『”らうすも大阪人でしょw”』
『らうすは兵庫だよ!』

らーめんをすすりながらちあきが入って来る。
ちあきは相変わらずかわいいな。そういえばらうすも関西人だったな。
それなら同じ関西人であるみっくくんのIDを知っていても当然だ。
納得したヤマダはLOLを起動する。

『じゃあノーマルいこっかw』
『お、いこな~!あ、え、はーーい!』

突然大声を出すみっくくん。
そして途端にみっくくんが通話から離脱する。

『どうしたのかな?』

天使の咀嚼音。ちあきはものを食べながらしゃべるくせがあり、そのうえ高性能マイクで細かい音までばっちり拾ってくるから神がかっている。

『”看護婦に見つかったんじゃねw”』

あ~なるほどたしかに一理ある。

『ハッハッハッハ』

らうすの笑い声だけがスピーカーから垂れ流されている。
ちょっとのきっかけでお通夜になるこの会議通話の参列者は、今夜もらうすだけだった。

第五話 チョコチップメロンパン

昼休み、弁当を忘れた格さんは購買へと足を運んでいた。
格さんの大好物であるチョコチップメロンパンは何と100円。
クオリティこそ購買さながらのものだが、チョコチップメロンパンが売っているという理由だけで格さんはこの学校へ入学した。

首尾よくチョコチップメロンパン通称CCMを手に入れ教室へ向かおうとする格さんだったが、なにやら購買の方が騒がしいことに気づく。

「は?なんでチョコチップメロンパンないの?おれがんばってるでしょ。おい。殺すぞ!?」

購買のおばちゃんも困り果てている

「damare」

格さんはわめきちらしているまるできちがいのようなきちがいを止めに入った。

「は?おい誰ですか?ばかにしてんのかおぁ~~~い??!!?」

きちがいは格さんに殴りかかった。

「誰やぼりぼり言ってんの・・・ぼりべあーか!??!」

突如現れたみっくくんが謎の言葉をつぶやきながらきちがいを後方へ投げ飛ばした。

「あ~~これもう無理だよ・・・ごめんんなさい。」

きちがいはおとなしくなった。野次馬から拍手が巻き起こる。

「おれメガネかけてへんよ」

それだけ言うと、みっくは颯爽と去って行った。

ひとまず格さんはおとなしくなったきちがいの前でひとしきり笑ったあと、 「ARAM部~~~~!!!」 と叫びながらきちがいを教室までひきずっていった。そのほうが面白いからだ。
教室へ着くと、格さんの席の周りには新しい風メンツが集まっていた。

「なるほどね」

事情を話し終えた格さんは顔をチョコチップだらけにしてパンを食べている。

「名前は?」

ヤマダがきちがいに問いかける。

「なんなんだ君は?しっつれいな奴だなぁ~~おい。ともなりです」

これがともなりだ!!!!!!!

「声出せともなり!!!!!」

チョコチップなのか格さんなのか分からないものが声を荒げる。

「は?おれがんばってるでしょw」

全く反省の色が見えないともなり。そこへまたみっくくんが現れた。

「誰やぼりぼり言ってんの・・・」

ともなりが青ざめる。

「もうドッジしません」
「ボリベアーか!??!?!」

おかまいなしにみっくくんは再度、ともなりを後方へ投げ飛ばす。

「え?僕何もしていないよぉ~」

理不尽にもともなりは美しい放物線を描きながら宙を舞う。
ともなりが教室の床に叩きつけられたのは、放課後だった。

第六話 199

ヤマダは困っていた。それは数秒前にさかのぼる。

199あるんだ」
「え?」

廊下を歩いていたヤマダに、突然空から声が降ってきた。

199、あるんだ。」

それからずっとその声が空から聞こえてくる。
言いようのない不安に駆られ、ヤマダの手汗はすごいことになっていた。

「神様?」
199あるつってんだろぉん・・・」

天の声がキレ気味なのでヤマダはなおも焦る。
そういえば聞いたことがあるぞ、この学校の七不思議のひとつ、「199」。
突然空から声が聞こえてきたかと思うと、理不尽にキレ出すらしい・・・

意を決したヤマダは上を見た。なんとそこには力士のような顔の男が!!!

ひえ~~~なんかいた!!!!」

奇声をあげたかと思うと、その力士は窓から飛び出して行った。
一体あれはなんだったのだろう・・・。 それはきっと、あなたの頭の上にも・・・

199あるんだ」

第七話 フィオラ教師ゲイバー

「はいじゃあ席について~」

朝礼が終わり、一時間目担当のゲイバー先生が入ってきた。
教科はフィオラ。フィオラの授業をさせたらこの人の右に出るものはいないと言われる名教師らしい。

「はいじゃあ先週出した宿題だしてくれ~」

しまった。ヤマダはそれを完全に忘れていたのだ。
クラスメイトは続々と宿題を提出していく。あの格さんでさえも。

「よ~しこれで全部かな?」
「あの~・・・忘れました・・・」

ヤマダがそろりと手をあげる。

「お、ヤマダじゃん。廊下行くかあ?!?!?!?」

げいばー先生はヤマダの周囲をフィオラのULTのように飛び回る。

「すみませんもう二度と忘れません!」
「(sun)」

ヤマダが頭を下げると、げいばー先生は太陽のような笑みを浮かべて教壇へ戻って行った。

それから1週間後。時間はまたフィオラの授業。
この日も宿題が出ていたが、今度は格さんが宿題を忘れてきていた。

「宿題忘れたけど許していいよやったあ!!!!」
「なんでぇ~!?!」

ハイドラを積んだげいばー先生は調子に乗っていた。

フィフィフィフィフィフィ・・・」
「や、やべえ!げいばー先生の発作だ!!!」

げいばー先生は持病を抱えており、時々こうして発作を起こす。

フィオッ!!!!!!!!!!!」

突然美しいブリッジをしたかと思うと、げいばー先生はそのまま動かなくなった。

第八話 怒涛の転校生編

るつ太郎「おれはるつ太郎」

かーばんくる「かーばんくるです」

さっし「さっしです」

かえるばーがー「かえるばーがーです」

はちきゅー「はちきゅーです」

のぶ「のぶです」

りず「りずです」

ひゅんける「ひゅんけるです」

第九話 格さん声帯復活編

それは突然の出来事だった。

ある日、なんとはなしにポート開放をしただけなのだが、それが原因で兄貴に声帯を取られてしまった。
やり場のない怒りはいつしか虚無感に変わり、みんなの会話を聞き流しつつ適当にチャットを打ちこむ自分に何の疑問も持たなくなっていた。

      ”声出せくそ格

いまではお決まりとなったこのチャットに、おれはもはやなんの反応も示さない。
LOLの試合が始まると、みんなが盛り上がったり、悲観したりする声を聴きながら、一人で笑う。

誰にも聞こえていないと分かっていても。

まるで自分の時間だけが止まっているような錯覚に、何度も陥る。
最後にみんなと通話したのはいつだったっけ?
試合中は誰もおれのチャットを見てくれない。
LOLが始まると、おれはいつも、みんなと一歩離れたところに立っている気分だ。
お、そうだな。

時計を見ると、ちょうどいま、昨日と今日の境を越えたところだった。
”あの日を境に”おれは声を出していない。
そして”もう一つの境”を、おれはいつまでたっても越えられない。
小さな焦燥感に背中を小突かれ、外へ出た。部屋着にパーカーをかぶせ、マフラーを巻いたが、それでも寒い。

ポケットに手を突っ込み、適当に歩き出す。息を吐けばすぐにメガネが曇った。いちいち拭くのも面倒だ。おれはすれ違いざまに、幸薄そうなおっさんにおれのメガネをかけてやった。

good luck

最初は驚いた様子だったおっさんも、おれの気持が伝わったのだろう。
小さく会釈すると、そのまま歩いて行った。
おれはというと、全く前が見えなくなっていた。
メガネを取っても視界は曇る。
出来の悪い冗談だ。

何度か電柱や壁にぶつかったり溝に落ちたりしながら歩いていると、前方に一筋の光が見えた。おれは飛んで火に入る夏の虫に憧れたヤング。近づかない手は無い。
光りの元へ辿りつくと、それはなんの変哲もない自動販売機だった。

「自動販売機なんだからおれが近付いただけで飲み物だせや」
そんなことをぶつぶついいながら財布から100円玉を取りだし、コイ~ン。

『あったか~~い』
なるほど。押すね。
モソンッと音がし、中から出てきたのはホカホカのチョコチップメロンパンだった。

砂糖もチョコも溶けべちゃべちゃになりながらも、いっちょまえに湯気を立てるメロンパンをかじりながら帰路につく。
気づくとおれは泣いていた。視界は涙でぼやけている。思えば、おれはメガネを外したあの時から泣いていたのかもしれない。

涙の味なのか、砂糖の味なのか、チョコの味なのか

おれはいま何をしているのか、いつから声を出すのが怖くなったのか

いつまでこうしている気なのか

自然と歩みが早くなり、いつしかそれは駆け足へと変わる。

変わる、変わるんだ、おれも。

戻る”んじゃない

進む”んだ

あの日の境はもう二度とやってはこない

一度越えてしまった昨日と今日の境へは戻れない

ならばおれは、進むんだ

いつしか視界はクリアになっている。

玄関を開けるのももどかしかったおれは、ジャンプして自分の部屋へ飛び込んだ。

スカイプからはみんなの声が聴こえる。

おれは息をゆっくり整える。

『しゃべれくそ格w』

      「いいよw」

第十話 ガチペド先生編

山田たちは情報処理室にいた。情報基礎理論の授業のためだ。

「はいじゃ~早くINしろやw」

担当のガチペド先生が号令する。

「これどうやって電源入れるの?」

ヤマダは極度のPC音痴であるため、いつも格さんの隣に座っていた。

「は?雑魚w」

格さんはそう言いながら山田のPCの電源を入れる。

「チョコチップメロンパン、おごりなw」

「ログインって・・・どうすんの?」

ヤマダは極度の

「ちょっとうんこしてきます」

ガチペド先生が思いつめた表情でトイレへ向かった。
これすなわち自習である。
教員であるにも関わらずサービス残業で精神が崩壊しつつある。

「肉体と精神が壊れるの、どっちが早いかな・・・はは・・・」

これがガチペド先生の座右の銘だった

すぐさまみんなでガチペド先生のついーとを確認する。 

『帰りたい』

『うんちのことしか考えられないよ~』

『ランクあげなきゃ・・・』

格さんは爆笑しすぎて呼吸困難に陥りけいれんしている

「チョ・・・・チョ・・・・チョコチップ!!!!!!!!!!!」

騒ぎもひと段落し、みんなそれぞれ静かにPCと向き合っている。

その時だ。

     『シルバーなめんなよ

静まり返った教室に、みっくくんの声が反響した。

その空気の振動はPCのファンへ吸い込まれていき、カジックスのkillへと変わっていったのだ。

第十一話 さっし編

タモンは・・・そう、タモン。タモンはとある焼き肉屋に来ていた。
大きな体躯を持つ彼は並の量では到底満腹にはならない。
「すいませ〜ん」
「はい、ご注文お伺いいたします」
「大ライスひとつ」
「ダイラス?」
「大ライスだつってんだろ!!!!!」

「かかか、かしこまりました〜ん!」
その店員はそそくさと厨房へ引っ込んだ。入念におしぼりで手を拭くタモン。指の間、親指の付け根、手の甲。ほかほかのおしぼりは、タモンにひと時の安らぎをもたらした。

「お待たせいたしました。中ライスです」

「は?!!?!?」

第十二話 恐怖のドッペルゲンガー編

山田は道を歩いていた。う〜〜〜風が冷たいなあ〜!そうやって道を歩いていると、前方に見覚えのあるシルエットが。そうあれはみっくに違いないなぁ〜!お〜いみっくみっくみっく!!!!!

しかしそのみっくは、山田を無視して踏切の向こうへと消えて行った。ガタンゴトンガタンゴトン。おや、これはいつもみっくのスカイプから聞こえてくる電車の・・・やっぱりあれはみっくだったのか?

ネットで調べてみると、どうも最近不可思議な噂が立っているらしい。

『さわむらしんやのドッペルゲンガーを見た』

そんな検索結果が2万件を超えていた。ドッペルゲンガー・・・自分と瓜二つの存在・・・それを見たものは・・・・どぴゅ・・・・

『どっぴゅるげんがーを見たらイクゥ!!!!!』

あ、これは格さんがたてたスレに違いない!!!!

しかしここまでさわしんゲンガーの噂がたっているのに、本人はまだ生きている。これはつまりどういうことなのか・・・略してこまり
スカイプで聴いてみよう!!!おいみっく!!!!!

「おれ眼鏡かけてへんで!?!??!」

あーーーーーーーーーなんだよこいつよーーーーーーー!!!!!!!!!

みっくに直接聞くことを断念しようとした矢先、信じられない現象が起きた。

おいみっくおまえおれのきびだんご食ったやろなあおい!!!!」
「は?分からん分らん!!!!いぇ」

なんと、みっくが一人芝居を始めたのだ!!!いいや違う!!!!よく聴けや!!!これ微妙に別人の声でしう

なんとみっくは一卵性双生児だったのだ!!!!!顔も声もそっくり!!!!!なるほど、どうりで同じ電車の音が聞こえてくるわけだ。

「おおいきびびbきびきbきびだんごおおおおおあい!!!!!!!!!!やねん!!!!」

「お前が一番No.1!!!!!」

噂の正体は実にあっけないもの
噂とは、根拠の無いものばかりである。今回の事件のように、フタを取ってみればハンバーグでしたなんてことがほとんどだ。
みんなもネットの情報を鵜呑みにするのではなく、曇りなき眼で真実を見定めるのだ。

第十三話 らうす社会復帰編

わいの名前はらうす!2年ぐらい前まで大学生やったんやで!大学を卒業したあとは「こんなくそ企業3年でやめたるわwww」と思ってたけど3ヶ月でやめちゃった。社会は厳しかったんや。これはもう、わいの根性の問題とかちゃうんやほんまにもう社会嫌やもん出たくない。

それから毎日楽しかったでぇ〜〜〜いいぇい!!!!MMO最高やなほんまに考えたやつ天才とちゃうんか!!??!?ぱぱぱぱパンツ見せたまま踊っとるやんけこいつぅ〜〜〜〜〜〜!どぴゅ

そんなこんなである日紫外線ってすごいやんと思ってなんかそういうのを作ってる会社に就職したで。いやこれほんまやから。妹もかわいいしもう言うことなしやでこれ。

わいさっきからこれしか言ってへんなあかんでこれ。病気でしょなんかそういう・・・あ、めっちゃいい紫外線あるやんけ!!!!課長、ちょっと外回り行って紫外線集めてきます〜〜ぅ!!!!!

第十四話 ちあき編

自分で女声でエロボイス録音してしこるの最高ーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
どぴゅゆゆ

第十五話 虹の転校生編

「虹を出してくれ!!!!」

その転校生はいきなりそう叫んだ。静まり返る教室・・・。

「かんわいった〜〜〜かぜ」

そして突然ラルクを歌い出した。

その時格さんが立ち上がり叫んだ。

「せゆぴんの家の犬の種類当てますミニチュダックスフント!!」

「コーギーです」

「お、そうだな」

格さんはまた静かに着席した。この男の名はせゆぴん。
妹がインターネット上のとあるサイトで有名になりすぎたために転校してきたそうだ。

コンコン(ドアをノックする音)

「はい、なに?え?だ〜からいいって!いいから!」

扉の向こうの誰かにせゆぴんが叫ぶ。

とにかくこの男が教室に入ってきてからの空気は妙だった。
あの格さんですら、授業中の日課である内職をやめて、せゆぴんを見つめていた。

「じゃあせゆぴんくんの席は・・・おいともなり、ちょっと廊下に立ってろ。」

「は?おいるつ〜〜〜〜〜〜!」

ともなりは廊下へと消えた。

ともなりの席へどかっと腰を下ろすせゆぴん。その隣には格さんが座っている。

「おれはせゆぴん。よろしく!」

「そういう君はせゆぴん・・・いま青ざめたな!?!?!?」

その時せゆぴんの膝蹴りが山田に!!!!

「な、なにをするだぁーーーーーー!!!!」

山田はボグシャア!!!という効果音を自分で言いながら吹き飛んだ。

「おのれ許さん!!!!」

言うが早いか、格さんはすでにせゆぴんの懐へ突進していた。

「虹を!!!!」

せゆぴんの腕が格さんを捕まえる。

「出せ!!!!!」

次の瞬間、格さんはなんかもうすごい体勢でせゆぴんの頭上へと持ち上げられていた。そしてその格さんから噴き出すおしっこが、教室の中に小さな虹のアーチを描いたのだ。

「あーもう萎えましたはいくそげーw」

そう言って格さんは気絶した。

新しい風学級の2トップが瞬殺され、どよめく教室。そこへ新聞配達と外国人美少女とのコミュニケーションで国境突破寸前のまひょくんが立ちはだかる!!!

「妹に金玉蹴られて精子に血が混ざったことある?」

まひょくんの丸太のような蹴りが襲いかかる。

余裕の表情を崩さないどころか、それを受け止めようとするせゆぴん。しかし!

グッパオン!!

「!?!?」

せゆぴんの片膝が地面に着いた。

「バグか!!??!??」

眼前に迫るまひょくんの蹴りに、せゆぴんは叫ばずにはいられなかった。

「チートやめろやああ!!!!!!!」

その後、せゆぴんの魂の叫びが家にまで届き、お母さんが学校へ謝りに来た。

とうのせゆぴんはというと、
まひょくんの渾身の蹴りで教室の壁にめり込み、いまでは大人気マスコットキャラウォールオブせゆぴんになっていた。

かくして虹の転校生事件は幕を閉じた。

格さんが意識を取り戻したのは、それから3日後のことだった。

おいるつ早く戻せるつおい首吊れ」

ともなりはいまでも、廊下をさまよっているという・・・。

第十六話 幻想神域編

らうすと連絡が取れなくなってから3日が経った。

新しい風メンツ唯一の社会人であるらうすは、最近社会復帰したとかで忙しいとは聴いていたが、突然連絡がとれなくなることは珍しかった。

「出張じゃね?」

「でもらうすのタンブラーが更新されないのはおかしいよ」

「まさかこたつの中で衰弱死」

「やったぜ」

最初は気に留めていなかった新しい風メンツだが、3日目ともなるとただならぬ予感をみんなが察知しているようだった。

それからさらに2日。誰もがらうすの存在を忘れかけていた時だった。

げんしんでてこんやんけ

らうすのついっとだ。なんだ、やっぱり生きていたじゃないか。鼻で笑う山田。しかしなんとも言えないこの違和感は・・・

”らうす最近なにしてんの”

たまらずリプを送った。

結果的に、それかららうすのリプも、ついっとも何もなかった。

げんしんでてこんやんけ

げんしん

げんしんとは一体なんなのか。新しい風の賢者、りずが答えを知っていた。

「それ、幻想神域ってネトゲやってるんじゃない?」

「仮にそうだとしてもさ、らうす自分がネトゲとかやってたら絶対こっちに『神ゲーやで〜w』とか言って貼るでしょ。」

「たしかに」

「とにかく一度、このゲームをやってみよう。なにか手がかりがつかめるかもしれない」

一同賛成、それぞれがインストールを始めた。

「ちょっと待ってぇ!??!!できないよおれ!!!」

mac未対応のため山田脱落。

「山田なんでmac買ったの?w」

「くりえいてぃぶ笑」

山田は一人、leagueの地へと向かった。

”windows買えや”-solilime

残ったメンバーは、格さんげいばーせゆぴんりずがちぺど。ちなみにこの二人はゲイバー先生とガチペド先生とは別人だ。

「へ〜けっこう自由度高いじゃん!空も飛べるしスタンドも出せるしすごいダンスの種類は豊富だし!」

おれも幻想神域やりたい。

「あ!!!!!!」

げいばーが叫んだ。

彼は、らうすを見つけた。しかしそれは、『らうす』だった。

非現実的だ。ありえねえよこんなぐだる話じゃなかったのに幻想神域・・・あ、あ、あ、あ、アンインストールしろよ〜〜〜〜!!!!

新しい風メンツは言葉を失った。

多くのかわいいキャラクターが行き交う中、一人、どう見ても生身の人間がいたのだ。

それこそまぎれも無いらうす。面識はなかったけどだいたいこんなもんでしょって感じでそれがらうすだと分かった。

らうすは女装備でパンツ丸出しのまま踊っていた。

おいなにやってんだらうす!」

せゆぴんがかけよって声をかける。

「え〜おれもう社会嫌やもん出たくない!」

良い歳した成人男性がしましまパンツを見せびらかしながら踊っているのは精神にくる。

「お、お、お、おといれあ〜う〜」

せゆぴんの心が壊れてしまった。

「これ勝てねえの!!!!?!?」

げいばーはげい子とかいうくそネカマキャラを使っていた。

「お、これげいばー?めっちゃしこれるやんけ!」

おもむろにげいばーで見抜きを始めるらうす。

「なんでぇ〜〜!??!」

げいばーは幻想神域をアンインストールした。

早くもせゆぴんとげいばーが脱落してしまった新しい風メンツ。

「ほんじゃあみんなも幻想神域やろうや。神ゲーやでこれほんまに。大人気MMOや!」

らうすは少年のように目を輝かせている。この異常事態に気づいていないのだろうか。

おいらうす現実見ろやw」

格さんも女キャラだ。

「格さんもこれかわいいやんけ!」

再びちんぽを取り出そうとするらうす。

「お前が愛したのはマビノギやろ!?!??!」

格さんが叫んだ。らうすの手が止まる。

「いやでも・・・ここでつり放置もできるんやで!」

「しゃべんなハゲw」

格さんがらうすに近づく。

「ゲームはゲームとして、現実世界で楽しめばいい。何かの合間にやるからこそ、ネトゲはおもしろいんや。それなのにお前がプレイされる側になってどないすんねん!」

ほんとにこれ格さんか?

「ころすぞほんまに・・・!」

らうすの声色が変わる。

「お前に社会人の何が分かるんや!ええこら?!?毎日毎日朝から夕方まで休憩はさんで仕事して!そんで土日祝日は休み!めっちゃいいこと務めとるやんけおれ!うわ〜ネトゲやっとる場合ちゃうやん!」
らうすが苦しみ始めた。

「なあらうす、お前がおらんくなったら、誰が妹のインベ整理すんねん」

「!???!?!」

ジリリリリリリリリ

おいらうす目ざましとめろ』
『うるせえええええええ』

なんや・・・夢やったんか・・・?

変な夢や・・・・。

・・・・!?!??

らうすのキーボードの上には、あのしましまパンツが置かれていた。

第十七話 みっく卒検編

「あかん曲がれへんっ!!!!」

曲がれなかったので卒検落ちました。
なんでや、おれはちゃんと勉強したのに!

帰り道、やっとのことでマッ缶を売っている自販機を見つけた。

「なんやこれ、ホットメロンパン?うわ〜」

こんなもん買うやつおるんかよ、と思いながら100円を入れる。

しばらく歩き回ったが、120円で250gのマッ缶を扱っている店はおろか、自販機も無かった。

ようやく見つけたマッ缶も100円で170gというこぶりなものだ。

ガコン

吐き出されたマッ缶を手に取り、再び歩き出す。

3月も末とはいえ、まだマッ缶の暖かさが手に染みる気温だ。

「う〜〜〜んこの」

マッ缶の甘さと暖かさに息を白くしながら、ひと時の休息を得る。
が、170gのマッ缶はすぐに無くなってしまった。

しかし、沈んだみっくの心を温めるには十分だった。

「よ〜っしゃ帰って勉強しますよ!」

あれから数日、結論から言うとまた落ちた。

「あ〜せゆぴんしつこいな〜!」

今度こそさすがに受かるだろうと高をくくっていたおれは、

よせばいいのにわざわざ『落ちたらギフトします』などと言ってしまった。

歩きスマホしながら、またマッ缶を求めて自販機へとやってきた。

「あ〜もうなんで受からんの?わからんわからん・・・・」

ガコン

『あーあかん誰か来てくれ!?!??!?』

「・・・」

心無しか、その日のマッ缶は少し冷めていた気がした。

そしてまた数日後。

「89・・・・・・!??!?(89くんちゃうよw)」

おれの心は折れかけていた。なんでや・・・おれは勉強したぞ。おれは・・・。

次第にお金もなくなってきた。気づけば今はもう4月。

春の陽気が訪れつつあったが、未だ空気が冷たく感じられるのは、おれだけか?

はぁ〜もうつらいんdamere

目の前には自販機。もはや100円すらも惜しいと、マッ缶を買おうか迷っていた。

あーあかん誰かきてくれr!?!?!?!?

おれはシルバーやぞ、シルバーなめんなよ

もしtopとmidが負けてたらお前はcarryできたんか?できんやろ?

「おれは・・・LOLばっかやっとったな・・・。」

自販機の前で、一人つぶやく。

「たしかに勉強はしたけど・・・LOLをするために・・・言い訳しとったんちゃうかなおれ・・・。卒検のためじゃなくて、LOLのため、勉強もしたしLOLやってもいいんやぞっていう言い訳のために・・・」

『こんなぐだる卒検じゃねえんだからさ〜・・・あ、あ、あ、あ、アンインストールしろよこいつ〜〜〜!』

「げいばーやったら言うやろな。ははは・・・おれは自動車界のブロンズ5や・・・。」

いつしか自販機の横に座り込み、ぼーっとしていた。何もやる気が起きない。

ガコン

びくっとした。誰かがジュースを買ったのだろうか。

こんなところで座っているところを見られたと思い、ちょっと恥ずかしくなっておれは立ち上がった。

「ふぉ・・・」

しかしそこには誰もいない。じゃあさっきの音は?

取り出し口をのぞくと、たしかに缶があった。

「あ・・・」

マッ缶だった。おれがいつも飲んでいた、自動車学校の帰りに飲んでいた、マッ缶。

100円で170gの小さなマッ缶。

思わず手に取ると、それはとても暖かかった。

「なんでや、おれまだお金入れてへんよ。」

自販機に問いかける。もちろん自販機は答えるはずもない。

「・・・割ってへんからな。」

そう言ってプルタブを起こす。すぐに甘い香りがした。

腰に手をあて、ぐいっと飲んだ時だった。

桜が咲いている。

目を離せず、マッ缶を一気飲みしてしまった。

なぜいままで気づかなかったのだろうか。今日初めて咲いたら?いや、きっと、そうじゃない。

そういえば、ここに来るときはいつもスマホをいじりながら、マッ缶だけを買って、すぐに通り過ぎていたな。

空になったマッ缶を持ったまま、桜を見つめる。

マッ缶を飲んだせいか、それとも別の・・・とにかく、おれの体はとても暖かくなってきていた。

春の陽気。

いまだ陽は高い。

あー、今日ってこんなに晴れとったんやな。

春の青空と日差しに、桜が映える。

もうおれの心に迷いはなかった。

百円を取り出し、自販機に入れる。しかし、マッ缶のボタンは光らない。

「わかってるやんw」

ニッと笑って、歩き出す。

「おれはシルバーやぞ、シルバーなめんなよ!」

第十八話 部活設立編

「部活を作るで〜!」

その日のスカイプで、らうすは唐突に言い放った。

「たのし〜!」

格さんは相変わらず奇声を発しながら一人でマビノギをやっている。

「たの

格さんが追放されました。

「とにかく部活を作るんや。わいは決めたで〜!」

翌日、らうすが教室へやってきた。開口一番、

「部活作るからさ、お前らさ、殺すぞほんまに!!!!!!!!」

らうすが口の端に泡をためて叫びながら、入部届けを押し付けてくる。

「ちょ、ちょーーーーっと待って!らうす社会人じゃなかったの?!?!」

常識人ヤマダはこれを見逃さない

「知らんわそんなもん!特技は妄想や!」

「そういうもんかな〜なんかな〜うーんこの」

ヤマダが腑に落ちないでいると、もはや足なのかまひょくんなのか分からないのが来て、さっと入部届けを書いてしまった。

「まひょくんバイトとか、大丈夫なの?」

「エンゲージいくぞ」

たしかに。

まひょくんのこの一言で、新しい風メンツはぞろぞろと入部届けを書いた。

設立のために5人必要だというのはお決まりだが、すでにざっと40人くらいの入部届けがあった。

「ハッハッハッハッハ」

らうすは上機嫌で職員室へと向かって行った。

「そういえば、なんの部活か聞いてなかったなぁ」

その日のスカイプ、ここでもらうすは上機嫌だった。

「これ神曲やからほんまに」

そう言って、声優がなんだか棒読みのOP(一定時間を置いて同じURLのもの)を貼ったり、

それを突然歌い出したりと、後にさっしくんがらうすでボカロを作りあげるほどのサンプルをまき散らしていた。

「た、た、たの、たのすぃ!!!!!!」

丸一日追放されて戻って来た格さんは以前にも増して興奮状態だったし、この日のスカイプはカオスなものだった。

ただしかしこの時点で、どんな部活になるのかは、みんな薄々察していたようだ。

GJ部

そう張り紙がされた部室の前に、みんなは集められた。まさか本当にやるとは。

「ほんまに何すんのこれ!!?!?!」

みっくがあきれた声を出す。

「わいがまおちゃんや!!!!」

???

らうすはみんなの疑問符を完全に無視し、部室の扉を開けた。

「し、し、し、しのみやーーーーー!!!!」

らうすはそう叫びながら、どう考えても届くはずのない、異常な高さの天井にある蛍光灯を変えようとし始めた。

「前の部長から託された最後のミッションなんや・・・・!」

これはもういよいよやばい気がする。

ドン!!!!

一瞬の出来事だった。なにか大きな音がした、と、思ったら、らうすが床で失神していた。

「血、出ちまったよw」

そう言って笑うかーばんくるの拳には血が・・・。

おい、いくらなんでも・・・」

ヤマダがそう言いかけたが、すぐに閉口した。

かーばんくるが殴っていたのは、壁だったのだ。らうすは普通に机から落ちただけだった。

「え、なんで壁殴ったの?」

るつの問いにかーばんくるは答えず、さっきまでらうすが乗っていた机に突っ伏して昼寝を始めた。

「取り乱してしまったな。許してくれ」

入れ替わるようにらうすが起きた

クラス内ヒエラルキー そう誰が決めたわけでもなくいつの間にか作り上げられる1軍2軍3軍 全てにおいて中の下から中の上 妄想社会で毎日ワーキャー 1軍になりたいわけでもないそんな私たちは 2軍のファンタジスタであーる

らうす?

「つまり、わいが作ったのはまさにGJ部というわけや!お前ら誰も見てないの!??!!早く違法視聴しろやw」

らうすの話によれば、この部室はGJ部の部室を完全に再現して作ったそうだ。

らうすは普通に頭良くて模範生なので、うまく弁を立てて校長を丸めてしまったのだろう。

たしかによく見ると、1話だけ見た時のぼんやりとした記憶だが、部室は再現されているようだ。

パソコンもあるし、部屋のど真ん中に意味不明の6畳間、本で埋め尽くされた本棚に、でぶが肉を食うためのソファ。

らうすは目を輝かせている。前にもこんな展開、あったな。

「本読んだりパソコンしたり肉食ったりしてだらだらするのが、活動内容?」

「せやで。わいが在籍しとるうちは、学校には文句言わせへん。ここはわいの理想郷なんや!!!!」

ふんっと胸を張ったらうすは、どこか天使真央の面影を感じた。普通に気持ち悪い。

集められたのが放課後ということもあり、みんなそれぞれだらだらし始める。

「あ〜このソファ思ったよりいいね。」

「ねえ格さんこのPCどうやって電源

「たのし〜〜〜〜〜〜!!!!!」

格さんは台所で釣りをしていた。

話にならないので、ヤマダはらうすのところへ行く。

らうすは本棚の前で本を選んでいた。

よく見るとそれは本ではなく全てGJ部りぴーと!でぃすくだった。

しかしらうすは真剣に「今日はどのりぴーと!でぃすくをりぴーとしようか」と悩んでいる。

フォローできなくなったヤマダは畳の上に座った。

GJ部は1話しか見たことないけど、ピンクの髪の子が一番えろそうだな。

と、そんなことを考えているうちに、ヤマダはどうしてもしこりたくなったので帰った。

それを皮切りに、持て余していた新しい風メンツはぞろぞろと部室を出て行く。

「うーん今日はこれや!!!」

一枚のりぴーと!でぃすくを取り出し、勢い良く振り返ったらうすだが、すでにみんな帰ってしまっていた。

「なんや、みんな帰ってもーたんか」

すでに日も落ちかけ、空は群青色。そこから差す淡い夕日が、部室の影を伸ばしている。

「ま、明日からはGWやし、今日はGJ部オールや〜!」

完全再現とはいったものの、それだけでは物足りなかったらうすは大きなスクリーンも備え付けていた。

そこに映し出されるGJ部員達の鮮やかな日々。

3次元に生きる我々の目に、日常というものがどうしてここまで美しく映るのだろうか。

「・・・」

ふと再生をやめたらうす。らうすは泣いていた。理由は分かっている。

夢にまで見、憧れたGJ部の日常。

しかしその青春は、第三者がそれを見て初めて青春として認識される。

青春を送っている瞬間の人間は、自分が青春を送っているとは思っていないだろう。

そう思ったとき、らうすは急にむなしくなった。寂しくなった。

色鮮やかに描かれる青春を、ただこうして見ているだけの自分に。

こいつらと同じ時を過ごしてるはずのわいはなんでこんな・・・。

「うっさいわ寝られへんやろ!!!」

かーばんくるだ。彼はまだ残って昼寝の続きをしていたのだ。

叫ぶとともに机を窓の外に放り投げたかーばんくるは、静かに言った。

「アニメに影響されて部活作って、学校丸め込んで自分の好きなように部室作ってな、ほんでそこで放課後に一人でアニメのDVDを大画面で見とるんやで、らうす」

「お前今、めっちゃ青春しとるんちゃうの」

それだけ言うとかーばんくるは帰っていった。

いつの間にか思考が声に出ていたらしい。恥ずかしい、と思ったが、それ以上に、らうすの心は満たされていた。

かーばんくるという第三者が、らうすの青春を証明してくれたのだ。

「・・・わいは青春の、ファンタジスタであーる」

らうすは再生ボタンを押した。

第十九話 スピマハル編

いつの間にかうたた寝をしていたのだろう。車窓の景色はすっかり変わっている。
6月の雨上がり、発達した雲がちぎれて空を流れていくのを見ながら、まひふよはポケットから切符を取り出した。

「乗り過ごしたか・・・?」

普段自分の足で郵便配達を行っているため、電車事情には疎い。
まひふよは今日、みっくとご飯を食べに行く約束をしていた。

場所は『スピマハル』というカレー屋らしい。

もちろん最初は走って行くつもりだったが、さすがに汗だくでカレーを食べるのは余計暑苦しいと考え、慣れない電車に乗っているのだ。
6月とはいえ、すっかり初夏の暑さとなっている。
それに梅雨の湿気を加えると、否応無しに、走るまひふよは汗だくになってしまう。
最近では、やたら長いふんどしだけを着用し、それが地面に着かない速度で配達をしている。

「まひょくん、今度カレー食いに行こうや!」

それは先日の放課後、教室を出た所でまひふよはみっくに呼び止められた。

「エンゲージ行くか?」

まひふよはこれを二つ返事で了承した。

「ほな今週の土曜にな〜〜〜!」

みっくはそう言うと、廊下を駆けていった。

あかん!曲がれへ

そして今日は土曜日。まひふよは新品のふんどしを着用し、余った部分で乳首を隠していた。

「僕いまamumuっぽいな」

そうつぶやくと、まひふよは涙を流しながらふんどしを放ち、先ほどからかよわい女性に絡んでいる中年男性に飛びついた!!!

「な、なにをする!!!」

暴れる中年にまひふよはささやいた。

「"Let's be friends forever."」

「ぐああああああああ!?!?!」

まひふよが展開したフィールドに体の自由を奪われたおっさんは、その後かけつけた駅員に連行されていった。

「legendary」

助けた女性がそうお礼を言うと、車内は歓声に包まれた。まひふよはクールに会釈すると、電車を後にした。

「おーまひょくん!こっち!」

待ち合わせ場所にはすでにみっくが来ていた。

「ほないこか」

さりげにまひふよの手を握って歩き出すみっく。
その時まひふよの脳裏にはアネットさんの笑顔が浮かび、マナ切れのはずなのに涙があふれた。とっさにみっくの手を振り払う。

「あ、ごめんごめん!おれ弟がおるんやけど、つい癖で手つないでまうんや!危なっかしいやつやからな〜」

「なるほどね」

みっくの弟について話していると、二人はスピマハルに着いた。

「これがスピマハルや!!!!!!」

そう叫ぶと、みっくは勢い良くドアを開けた。

「あああああ!!!!!!!!」

そして勢い良くドアが閉まり、みっくは店内に吸い込まれていった。

「一人でスピマハルに行くなど・・」
『無謀!!!!!!!!』

覚悟を決めたまひふよも、勢い良くドアを開けた。
静まり返る店内。明かりもついておらず、みっくがどこへ行ったのかも分からない。
とりあえず席に着き、メニューを開く。

「イラッシャイマセ」

「・・・!」

いつの間にかインド人が右に立っていた。

「ゴチュモン、ドウシマス?」

「そうだな・・・・」

刹那、まひふよから伸びたふんどしがインド人を絡めとる。

「みっくを、出してもらおうか」

ドシャリ

ふんどしの拘束を解かれたインド人はすでにひからびていた。

「他愛もない」

まひふよは店の奥へと進む。

「・・・!みっく!」

みっくが気を失って倒れていた。駆け寄るまひふよ。だが突然、まひふよの体が炎に包まれた。

「ぬううううううう!??!!!?」

「カカッタネ。オマエノフンドシサエナケレバ・・・!?!?」

言い終わる前に、インド人2は壁のオブジェと化していた。

「動きにくいったらないんだよ、ふんどしは」

殺人的速度で繰り出されたまひふよの蹴りは、その風圧で炎をも消していた。

「くっ・・・ナマステ!」

壁にめり込んで身動きの取れなくなったインド人は、覚悟を決めたようだ。

「一体何が目的だ!」

まひふよが詰め寄る。

「ニポンジンニ、オイシイカレークワシタイヨ・・・!」

「そうか・・・じゃあチキンカレーひとつ」

「アイ。チョットマッテテネー」

それから数分、おいしそうなチキンカレーがテーブルに並んだ。

「お、まひょくんチキンカレーか!いいセンスしとるようん」

みっくはすでに野菜スープカレーにかぶりついている。
それを見たまひふよはチョコチップまみれの格さんを思い出し、ちょっと笑った。

その日まひふよは、ちょっと笑ったのだ。

第二十話 中卒の帰還

「お兄ちゃん」

「・・・」

「お兄ちゃん!」

「・・・う〜〜〜ん」

「お兄ちゃん起きて!」

「!」

反射的に身を起こし、かのんの頭をなでなでする。
正確には、ディスプレイを、だ。
そして時間は19時を過ぎたところ。
バイトにはまだ少し早かった。
実に数年ぶりにバイトを始めて、そろそろ3ヶ月が経つ。
仕事にも慣れ、出勤前の胃痛は無くなっていた。
あぁ、今日はあの大学生と一緒か。
先月入ったばかりの彼を見ていると、つい最近までの自分が重なって、
どうにもいらん世話を焼いてしまう。

おせっかいなやつだと思われてたら、ちょっと嫌だな。

そんなことを考えながらシャワーを浴びる。
体がすっきりすると、さっきまでの妙なネガティブ思考も流れていくようだ。

「ふぅ・・・」

風呂上がりで汗ばんだ体をやっと拭き終えた。 もうそんな季節である。
時計を見ても、まだ時間はある。
軽くゲームでもしようとパソコンの前に座ると、
いつものように、スカイプの溜まりに溜まったメッセージを流し読みする。

今日の話題は、たもんくんがないないを割ったことだったようだ。

りずは通話には参加しない。
いや、参加はするが、しゃべらない。
すでにマイクを買うだけのお金も手元にある。

いつでもしゃべることができるのだ、りずは。

しかし、今一歩を踏み出せない理由があった。
それは、いつかの夏の日だった。

「あ、あの〜、こんにちは・・・」

『え?』

「こ、こんち・・・は!」

その日、りずはニヤニヤ生放送の凸待ち放送に凸していた。

『あ、はい!こんにちは〜!今日は何をしていってくれるのかな?』

大好きな声優の声真似をやっている生主だった。

「あ、いや、えっと〜・・・特に、か考えてなかったすw」

『え〜、はい。じゃあ、なにか物まねを一つ、どうぞ!』

しまった。

本当に何も考えていなかったりずは、まさか無茶ぶりされるとは思ってもみなかった。
一瞬、頭が真っ白になったが、次の瞬間には行動していた。

「イクゥー!」

渾身の出来だった。
りずはとっさの自分の判断を賞賛さえした。
この土壇場で素晴らしいlee sinの真似ができたのだ。

『え、ちょ、うるさ・・・w』

しかし、現実はこうだった。

張り切りすぎたりずの声は音割れし、よもやなんと言ったのかも伝わっていなかった
勢いに任せるしか無いこのような物まねは二度ふられると辛い。
すっかり冷め切った生主とリスナーの心ないコメントに、
りずはマイクを投げるしかできなかったのだ。

あの日の経験が、今日のりずを踏みとどまらせていたのだ。

そして今から3ヶ月前。
少しずつ色づき始めた春の町並みに、りずはちょっとコンビニまで行こうかと考えた。
その日は特に気温が高く、自転車をこぐ体が汗ばんだ。
軽く上がった息を整えながら、お菓子を選ぶ。
しかし、気分にあったお菓子がなかったため、肉まんを買うことにした。

「ありゃあっしたー」

コンビニを出たりずは、肉まんをかじりながら自転車を押す。
街路樹に緑が目立ち始めているのを見つけると、改めて季節の変わり目を感じた。
そしてちょうど肉まんを食べ終わる頃、りずはふと足を止めた。

街を見下ろす坂道の上。

ここからはほとんど自転車をこがずに家までたどり着くことができる。
サドルにまたろうとした時、妙な違和感を覚えた。
あれ・・・ここって、こんなにきつい坂だったっけ?
見下ろした坂道は、けっこうな勾配がついている。

来た時と同じ坂だ。

その時、りずは気がついた。
そして、またコンビニへと向かってた。
りずの目には力がみなぎっている。
数日後、りずは店員として、そのコンビニへ通い始めたのだった。

第二十一話 山田オナニー編

「う〜〜〜〜〜〜ん」

チリリリリリ

「ううう〜〜〜〜〜〜ん」

チリリリリリ

「うんっ!!!!!!!!!」

リンッ

朝だった。

どうやら目覚ましをセットした途端に寝落ちしてしまったらしい。

朝だというのに、スカイプからはみんなの声が聞こえている。

こいつらいつ寝てるんだ?と思いながら通話を聴いていると、ちょうどゲイバーが通話に参加してきた。

「おはようございます」

ゲイバーのいつもの挨拶だ。

ついでに便乗して通話に入ろう。

マイクのミュートを切って、開口一番、

「おはようございます」

山田が挨拶した途端、にわかに通話がシンとなった。

そして

「え?誰?誰なんいまの・・・素材か?」

かーばんくるがやけに興奮している。

「え、ちょ、ほんまいまの誰?」

るつも興奮している。

「ちょ誰やおぁい誰ぁい!!?!!?」

格さんも興奮している。

なんだ?

「え、どうしたのみんなw」

「え、山田!?!??!」

かーばんくるの声が大きくなった。

どうやら仰向けになったらしい。

「ばいぶるくんみたいなこと言うなよw」

山田はみんなにからかわれているのだと思った。

みんな徹夜明けで頭おかしくなってるんだろうと。

「山田に妹なんておったっけ?まさか彼女????」

みっくも興奮している。

さすがの山田もだんだん焦り出す。

「ちょ、ちょーっと待って!?みんななんの話してるの!?」

思わず大きい声が出てしまったが、その時気づいた。

声が超かわいいのだ。

「え、なにこれ!??!おれめっちゃ声かわいいやんけ?!?!?!」

けっこう呑気してた山田もこれにはびっくりした。

「ボイチェンでしょどうせw 山田もううるっさいw」

「いやおれボイチェン持ってないよ!???!なにこれぇ!?!?!?」

焦る山田。

しかしここで冷静になってみる。

もしや変な体勢で寝たものだから、喉の調子がおかしいのかもしれない。

とりあえず歯を磨いてうがいをしてみようと洗面所へ向かった山田は、信じられない光景を目にした。

鏡に写っていたのは、まぎれも無い美少女だったのだ!!!!

「お、お、お、おぁーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

とっさに胸と股間に手を伸ばすが、無いはずのものがあり、あるはずのものが無かった!!!

「んっ・・・」

これが、女の子の体・・・

「んんっ・・・」

これはきっと夢だ。覚めるまえに!

「ん!」

しかし、いつまでたっても夢は覚めなかった。

つまりこれは・・・

「え、あんた誰・・・?」

おかんが立っていた。

「あ、やっぱそうなるんだ・・・」

山田はおかんに説明するのに30分ぐらいかかった。

小さい頃からの思い出をさんざん語ってやっと信じてもらえた。

とりあえず顔を洗い、着替えようとする山田だが、

「トランクスってやばいんじゃない?」

と思い、おかんに頼んで使ってない下着だけもらった。

初めて履く女ものの下着がまさかおかんのものだとは・・・

山田は泣きながら着替えをすませた。

下着以外は男ものの服だ。

こそこそと洗面所に向かい、自分の姿を改めて確認すると、ますますかわいいじゃないか!

胸はそんなにないが、元が男なだけあってスタイルは締まっている。

山田はすでに、この事態に順応していたのだ。

あとなんか髪型もロングの姫カットになっていた。かわいい

うへ〜おれってこんなに姫カット似合うの・・・?

全然メンヘラ臭がしない・・・真の姫カットだ!!

「おれが委員長だ!!!!!!」

山田はもうとりあえず学級委員長になりたくて仕方なかった。

「あれ、でも、おれっておかしいな。ちょっと痛い子みたいだな・・・」

一人称に悩む!

「とりあえず、わたしにしとこうかな。口調が男っぽいのもなんかな〜。でも女の子口調も難しい・・・」

その時山田はひらめいた!

急いでGG部を違法視聴する。

そこには女の子口調でも男口調でもない、良い感じの知的美少女がいたのだ。

「これですわ!」

これならいくらでも書ける!

「んっう”う”ん!あーあーあー!」

まず自分がどんな声が出せるのかを確認する。

思ったより色んな感じの声が出るようだ。

「う”んっ!あーあーあー、足痛い・・・いたぁい・・・温泉、温泉、温泉・・・」

自分の声がかわいいかつ大人の魅力も秘めていて大満足だった。

あと身長もけっこうあった。

165cmぐらいあるぞこれ。

足もそこそこ長い!

次々と現れる新たな自分の特徴に、山田はもううれしくてたまらない。

「よっしゃ学校いくぞ!!!」

しかしここで、最初の壁に打ち当たった。

さすがに学ランはきつい。

さすがに学校の先生達が、山田が美少女になりましたなんて信じてくれるとは思えないし、世間を騒がせたくはない。

どうする、美少女やまだ!?!???!?

第二十二話 こまりたもん編

こまりは、廊下で、不思議な体験をしていた。

「がちでおれ199あんねん」

「タモンくん何してんの?」

こまりはタモンを見上げる。

「いや、おれ、199あんねん」

タモンの頭部は雲がかかっており、その表情は伺えない。

「だからタモンくんなにしてんの?」

「チートやめろや!!!!!!!」

突然タモン咆哮、窓に向かって突進する

「タモンくん!?」

しかしこまりは、タモンの動きを『目で追っていた』。

タモンが窓を突き破るその瞬間、

痛そう!

と、こまりは思うことができた。

その日、タモンは授業に出なかった。

「タモンくん、どうしたの?」

次の日、学校に来ると、机の下にもぐりこんだタモンに、まひょくんが声をかけていた。

「タモンくんどうしたの?」

こまりも駆け寄る。が、そこで腕を掴まれた。

格さんだった。

「格さん・・・」

「お前が死んだら、おれが恥ずかしい」

格さんは妙に真面目な顔で、そう言った。

真意が分からず、ただ格さんの目を見つめ返す。

しかし、目だと思っていたものはチョコチップだった。

「キッショw」

思わずそう口にすると、格さんはひどく傷ついたらしく、ちょろちょろと虹を出しながら去って行った。

「虹を出せ!!!!!!!!!」

壁に埋まったせゆぴんが叫ぶと、格さんは空中に飛び上がり、美しい放射線を描きながら、教室に大きな虹をかけた。

「ありの〜ままの〜」

何か歌を口ずさんでいる。

その時だった。

「がちでおれ、キレテンねん!!!!」

タモンの拳が遥か上空から振り下ろされ、直撃した格さんは天井と床をバウンドし、それはさながらワンダーワイドホワイトボールのようだった。

先ほどまでの美しい虹も、いまでは真っ赤になっていた。

「なにしやがる!?!!?!」

せゆぴんが、ついに壁から解き放たれた。

その背中からはなにかケーブルのようなものが数本伸びており、壁の中を伝っている。

「あの高架下での約束を・・・・!」

タモンの周囲の時空が歪む

「覚えているか!?!?」

刹那、空間が圧縮され、教室の中が嵐のように荒れ狂った

「あーあかん誰が助けて!!!?!?」

みっくが亜空間にばらまかれてしまった

「いや、あれはあじやな」

澤村マイスターである山田が冷静に判断した。

いまのはあじだったようだ。

「やばやばやばっぴーーーーー!!!!!!!」

タモンは必至にまひふよにしがみついている

もはやこの教室で立っていられるのは、まひふよだけだった。

「みんな大丈夫!?タモンくん!!!」

まひふよは被害状況を把握しようと必至だ。

「大ライス」

タモンは今にも吸い込まれそう

「ダイラス?」

さっしくんが聞き返す。すると、タモンの表情が変わった。

「うーーーんもうキレたもん!!!!!!!!!」

まひふよから手を離したタモンがあっさりとせゆぴんのultに吸い込まれて行く

「た、たもんくーーーーん!!」

「虹を・・・出せ」

せゆぴんはとどめを刺すつもりらしい。

その両手を眼前にかざすと、

「覚悟のmejai!!!!!!!」

次の瞬間、嵐が一つの小さな球体に縮小されたかと思うと、ものすごい光を放った。

教室は光に包まれ、目を開けていられるものはまひふよだけだった。

顔に勝利の確信がにじむせゆぴん。

しかし、

ジリリリリリリリ

「な・・・・・!?」

あの忌々しいアラーム音が、光の中からけたたましく鳴り響いた。

せゆぴんの眉間にしわが刻まれる。

「チート・・・・やめろやあ!!!!!!!!!!!!」

背中のケーブルを外し、せゆぴんが光の中へ突進していった。

その時、みんなの心に、誰かが語りかけてきた。

風を…感じたんだ…人は・・・風をまとっている。心を癒す風、人に元気を与える風、笑いを呼ぶ風、勇気を与える風・・・君が最初に眠っている俺を見たとき、俺は夢を見ていた。気持ちのいい風に吹かれて自由に野を駆ける、とても暖かで・・・幸せな夢だった・・・。君も・・・俺の風を感じてみないか?

気がつくと、授業が始まっていた。

こまりは辺りを見回す。

タモンくんは普通に授業を受けている。

壁に埋まったせゆぴんに、廊下をさまようともなり、ワンダーワイドホワイト格さん。

全てがいつもどおりだった。

ただひとつ、いつもと違ったところがあった。

タモンくんの頭部の雲が、今日はきれいに晴れていたのだ。

第二十三話 〜人生相談アニメーション『新しい風』〜

らうす「理系担当のらうすです!』
山田「文系担当の山田です!」
ともなり「体育会系担当のおくのです!」

らうす「では、一つ目の相談からいくでぇ!」
山田&ともなり「せんせいしょん!!!!」

らうす「初めまして。僕は3年の澤村と申します。
    僕はインターネットをよく利用するのですが、
    先日、弟の不手際で個人情報がほとんどばれました。
    スカイプを通して知り合った人たちに、毎日のようにそのことでいじられます。
    もういやだこんな世界!とのことです」

山田「う〜んなるほどね」キュキュキュ
らうす「ネットってほんま怖いな〜」キュキュキュ
ともなり「雑魚でしょw」キュキュキュ

山田『ばれたのが知り合いだったことに感謝すべき』
らうす『相手の個人情報もぶっこぬいて対等の関係を維持するんやで』
ともなり『ごめんなっさ〜い』

らうす「おいまてやともなりのそれなんやねん真面目にせんと殺すぞほんまに!」
山田「いや、これはきっと、体育会系脳筋のともなりに
   インターネットのことは分からないので、
   『ごめんなさい、下手な回答をすることはできません』
   ということなんじゃないかな?」
らうす「は〜筆者の気持ちね」

ともなり「分かってんじゃんお〜いしっつれいなやつだなぁ!?!?」
さっし「う〜んらうすくんの意見も少し過激だね。
    ここは山田君の意見が妥当なんじゃないかな。
    今後気をつけるように!」
山田「きみだれ?」
さっし「司会進行のさっしです」
らうす「なるほど」

さっし「では次の相談です!」
ともなりらうすやまだ「せんせいしょん!」
さっし「こんにちは。先日、スカイプで通話をしていたところ、
    通話相手からアニメ見ている時に君の声が入るといらいらすると言われ、
    思わずマイクを投げてしまいました。悔しいです」

さっし「理不尽だね〜」
山田『アニメを見るか通話するかのどちらかにするべき』
らうす『そいつの声を数パターン録音してボカロにしてやるんや』
ともなり『がんばってるでしょw』

らうす「おいともなりほんまいい加減にせんと脳みそに
    トランジスタ埋め込んで人間回路にしたるで!?」
山田「いや、これはきっと、こんなに理不尽な悪態をつかれたのにも関わらず、
   マイクを投げるだけにとどめた相談者はよくがんばった!
   ということなんじゃないかな?
らうす「でんがなまんがな」

ともなり「おぁ〜いw」
さっし「らうすくんの意見はさっきからちょっと過激だね。
    常識的に考えれば山田くん以上の答えはないと思うよ」
山田「兵馬俑最高!!!!!!!!』

らうす「おいおいさっきから山田ばっか有利な相談紹介しよってからに、
    さっしくんいい加減にせんと脳みそに電極ぶっさして人格変えたるで?」
さっし「だめ」
ともなり「喧嘩はやめろ!!!!!!!!!」

さっし「ではちゅぎの相談!」
やまだともなりらうす「とりっくおあとりーと!」

さっし「こんにちは、新しい風のみなさん。
    僕は先日、PCを買い替えたのですが、macのPCではほとんどのネトゲを
    プレイすることができません。
    周りのみんなは次々に新しいゲームを楽しそうにプレイしていて寂しいです。
    どうすればいいでしょうか?」

さっし「これはらうすくん有利な相談なんじゃないかな?がんばって」
山田『イマドキ、macに対応していないのはクソゲーの証なので、神ゲーが現れるのを待つべし』
らうす『ブートキャンプしろ』
ともなり『初めて部屋にゴキブリが出ました』

ともなり「あれほんとショックだったから」
さっし「そう」
らうす「ネトゲしたいのにmac買ったん!??!あほちゃうかw」
山田「PCのことはよく分からないけど、あのmacでプレイできないなんてクソゲーに違いないよ!」

さっし「うん、まあ、これはらうすくんの意見が妥当だね。
    でも僕も最近、めんどうな操作をしないで気軽にmacでも
    windowsのゲームがプレイできるようになるアプリを作っているから、
    それまでがんばってね」
ともなり「見失っちゃったけど、絶対まだこの部屋の中にいるんだよあれうわ〜ごめ

さっし「次で最後の相談です!気合い入れて行こう!」
らうすやまだ「せんせいしょん!」
ともなり「まじで寝てる時とかに口から水分吸われてんのなかなあ〜
     もう考えただけで落ち込んでくるよ引っ越したばっかなのにさ〜」

さっし「初めまして・・・。お仕事がつらくて辞めたいのに、辞めさせてもらえません・・・。
    休日出勤や残業も当たり前なのに給料は雀の涙ほどです・・・。
    この相談もトイレでさぼりながら送りました・・・辞めたい・・・」

さっし「これ多分SEかPGの人だね。ざっと40kgしか無さそう」
山田『ばっくれろ!』
らうす『ここじゃなくて労基に相談しろ』
ともなり『ほんと夜寝るの怖い』

さっし「う〜んこれはなかなか・・・常識的に考えれば、
    らうすくんの意見が妥当なんだけど、
    常識が通用しない会社もたくさんあるみたいだし・・・」
らうす「わいは社会に出とるんやで。
    学制風情が知ったような口を聞くな。
    これはもうわいの勝ちや!!!!!」

山田「本当に社会出てるのこの人」
さっし「^^;」
ともなり「いま調べたんだけど、ゴキブリって洗剤やお湯をかけると
     すぐ死んじゃうらしいね。洗剤はゴキブリの体表にある気門を塞いで、
     お湯は変温であるゴキブリに効果抜群なんだって!
     対策を知ってるのと知ってないのとじゃ安心感がまるで違

さっし「う〜んここは二人の意見をまとめて、労基に行って取り合ってもらえなかったらばっくれちゃおう!」
ともなり「お前ら相談乗るんやろなあおれの相談も聴いてやゴキブリが部屋に出てまじでショックなん
らうす「赤松!!!!!!!!!!」
ともなり「うあああああああああああああああ

山田「というわけで今回の人生相談はこれで終わりかな?」
さっし「そうだね。今日一日、たった4つの相談だったけど、
    色んなことを考えさせられたね。
    そして、世界にはいろいろな人がいるんだね」
らうす「こんなわいらでよければいつでも相談にのっちゃるけん、送りやぁ!」

特技〜妄想趣味

第二十四話 金玉コマニー(PNコマニーさんのリクエスト)

夏休みを来週に控え、すでにその先駆けのような暑さにうんざりしながらも、
今日とて授業は始まるのだ。
この時間、教科は現代文。
先生が指定した座席から順番に朗読が行われていた。

「はい、じゃあ、次。・・・○村だ」

中○と呼ばれた男、通称89。
彼も新しい風学級の一員だ。

おい、次お前だぞぉ、○村!」

先生の声が教室にこだまする。
しかし、なんの反応もない。
シンとした教室を、夏の暑さを孕んだ風が吹き抜ける。

「中○!!」

さすがに先生の声にも苛立ちが混じった。その時だ。

「はい」

89くんが、ごく普通に、返事をした。
落ち着き払ったその態度には、悪意は感じられない。

「またか、○村。くそスペは周りに迷惑をかけていることを自覚しろ!」

この先生の説教も、これで何度目だろうか。
そう、89くんはくそスペなので、全ての反応に遅延が発生するのだ。
一度反応があってからは割とスムーズに会話が成り立つのだが、その一回目までが長い。
そしてこの後、もうひとつの恒例行事があった。

「先生」

89の顔がにわかに曇る・・・

「あんまり本名呼ぶな殺すぞ!!?!?!?!」

89は突然先生に飛びかかった。
すかさずこまりが

「モモコォ!!!!」

と叫ぶ。
すると89の体が赤く光り、次の瞬間、彼の体は巨大化した!!!
89はその巨体を軽々と翻し、こまりに机を投げつける。

「いくいくいくいくこまにーーーーーー!!!!!!!!!!」

机が股間に直撃したこまりは射精しながら失神した。

「軟弱な金玉だなw」

89は捨て台詞を吐くと、再び先生に向かって突進した。
先生は先ほどからずっと黒板に『桃子』と書きまくっている。
これが89のレイジを加速させた!!!!

「うおおおおおおんん!!!!!」

89の巨大な腕が教壇ごと先生をえぐる!!!!
しかし!!!

「な・・・・・!」

先生は、傷一つなく立っていた。体が金色に光っている。

「そこまでだ、89!!!」

89がその声に反応する前に、89は体の自由を失った。
ふんどしに体をしめあげられたのだ!

「精子に血って混じるもんなんだなぁって思ったよ」

まひふよだ!

まひふよは身にまとったふんどしを自在に操ることができるようになった。
カレーを食ったからだ。本当は食う前から操れたのだ。
風紀委員まひふよの登場にうろたえる89。

「おれのカウンターピックはジャングラーだよ!??!?」

「エンゲージ!!!!!!!」

一瞬にしてふんどしの圧力が増し、89の意識は途絶えた。
まひふよの瞳からは涙があふれている。

「中村くん・・・」

まひふよは、そっと89のまぶたをおろした。
その後、89の呪いを受けた先生は金色のまま動かなくなってしまったので、
新しい風学級のシンボルとなった。
放課後、遅くまで教室に残っていると、この金の像から 「モモコォ」 と、声が聞こえるらしい。
こまりは金玉が壊れてしまい、常時精液が垂れ流し状態になってしまったが、
たぬき合戦の狸のように金玉袋がものすごい伸びるようにもなったので、本人はけっこうよろこんでいる。

第二十五話 新しい風コンバット ep.1

これは、新しい風を待ち受ける、いつか来る過酷な運命の物語である。

『あ〜いくいくいくいくいく〜〜〜!!』
『ともなり〜〜〜〜〜〜〜〜〜!』

時は200X年。
いろいろあって、世界は再び戦火に飲まれた。
開戦時に徴兵された新しい風メンツも修羅場をくぐり抜け、
今ではそのまま「新しい風小隊」として、戦場を駆け巡っていた。

敵『無線での交信が確認できない!やつらの統率力は一体どうなっている!?』

敵『分かりません。しかしこちらの無線は傍受されている模様。
  展開した部隊にも引っかかりません!』

敵『くっ・・・New Windめ・・・!』

新しい風小隊は、New Windと呼ばれ恐れられていた。
風のようにつかみ所のないその行動パターンが、敵の情報をかく乱するのだ。

〜作戦開始前〜

らうす「よ〜っしゃ、ほんじゃ今日は、ジャングルに展開している敵部隊を各個排除、前線を押し上げるで〜」

格さん「神ホスよろw」

らうす「通話いきます・・・おい山田通話出てへんやろ?!?!!」

新しい風小隊では無線ではなくスカイプが使用されていた!!!!!!

山田は通話に出ずにジャングルへ単独イニシエートしていた。
衛星で山田をスペクテイトしていたまひふよが唸る。

まひふよ「まずいですよ・・・!」

らうす「音声拾えるか!??」

まひふよ「やってみるよ」

ざ・・・・ざー・・・・・

山田『な・・で誰も・・・てこねえ・・・よ!!!!!』
案の定、山田は敵部隊に遭遇、包囲されつつあった。

らうす「なんしとんねん殺すぞほんまに〜〜〜!」

らうす達は急いで行動を開始した。

かーばんくる「ちょっとおれ、先行ってるで」
かーばんくるの体がにわかに青く光り始める。

かーばんくる「座標は?」

まひふよ「どっかこのへん!」

かーばんくる「あ〜もうめんどくさいな〜」

途端にかーばんくるの姿が消えた。
なんかいろいろな技術が開発され、正確な座標が分かればそこにテレポートできるようになったのだ!
しかしこのテレポート、なんかこう動かすためのあれがものすごい貴重で、
機械もやたら繊細なので、1日に一回、それも周囲へのなんかこう影響もすごいので、
日本だけのなんか最重要機密なのだ!!ん?!?!

山田「うわ!!なんだ、かーばんくるくんか!」

かーばんくる「あ〜もうこんなとこで貴重なTPを・・・」

かーばんくるは山田と合流した。
一人だったことがある意味幸いし、敵は未だ山田を包囲できずにいた。

かーばんくる「らうす達が到着するまで、適当に応戦しながら退くぞ」

山田・かーばんくるも行動を開始。

らうす『お〜い聴こえてるこれ?あーあーあー』

山田『お、らうすじゃん!』

らうす『殺すぞほんまに』

スカイプで合流地点を確認し、まひふよのサポートの元でそこを目指すのだ。

らうす『こっちはタモンくんが先行しとる、まず合流してくれ』

その体躯から想像できないほど軽いフットワークを持つタモン。
戦場では「199(nineteen-nine)」の異名を持つ。

タモン『ひえ〜なんか出た!!!』
しかし体がでかすぎてすぐに敵に見つかるため、らうすはあえてタモンを先行させたのだ。

らうす『ハッハッハッハwww』

タモン『こいつ強すぎやねん!!!!』

どうやらタモンは接敵地点に釘付けにされているようだ。

らうす『よ〜しええぞ。これで敵はタモンと山田達が合流しようとしてると
     思い込んだはずや。おい山田、合流地点Bに変更や』

山田『やったぜ!』

まひふよ『お、まさしく山田達を追っていた敵部隊がタモン君の方に少しずつそれていってますね。
どうやら見失ったため、合流地点に向けて挟み込んでいるつもりのようですね』

タモン『え、それおれやばくない?(動揺)』

格さん『ばーかw』

らうす『それでいいんや!わいらが山田たちと合流したら、逆にこっちが挟み打ちにしたる!』

タモン『おれの負担でかすぎんだろ!!!!!!!!』

そうは言っても、すでにタモンと交戦している部隊には多数の死傷者が出ていた。
199の異名は伊達じゃない!!!!

ゲイバー『あ〜もうこいつら全然ダメージ交換できてねえじゃんw』

もう一人のサポートであるゲイバー。
新しい風小隊には、「ガチペド部隊」と呼ばれるもう一つの別働隊が存在する。
彼はそこの部隊長だ。

ゲイバー『おれらの部隊がもうちょいでタモンと合流するからがんばってw』

タモン『あ〜〜〜ジャムったやばやばやばっびーーーーーー!!!!!!!!』
ゲイバー『ちんちんか!!?w』

タモンは力が強すぎるため、ちょっと加減を間違えると、マグ交換の際に銃が故障してしまうのだ。
タモン絶対絶命!!!!!!

ゲイバー『ちょっとガチペド部の通話戻るわw』

完全に独立した部隊であるため、なぜかスカイプ通話も別会議が設けられている。
まじで意味が分からない。
一方その頃、山田・かーばんくるとらうすの本隊が合流していた。

らうす「よっしゃ休んどる暇はないで〜!まひょくんルート案内頼む!」

まひふよ『sir yes sir』

格さん「よっしゃ〜!ってあじりてぃどこ向かってんの!?!??」

人の話を聞かないあじりてぃは、せっかく山田達が合流したのに単独行動を始めていた。

かーばんくる『今から集団戦やるっていう雰囲気やったやろ!?!??!』

あじ『いや、しかし・・・・』

こんなにぐだる作戦じゃなかったのによぉ〜!
仕方が無いのであじりてぃには別ルートで敵の背後に回るように指示がだされた。
しかし不安である。

一方その頃がチペド部隊ー

ゲイバー『お、タモンじゃん!交戦いくかぁ!!?!?』

ガチペド『ジャングルポピーの力見せてやるぜ』

ガチペドはハンドガンのみの軽武装だが、それゆえにフットワークが軽い。

敵「うっ!??!?!」

ふいに現れたガチペドの強烈な体当たりで木に叩き付けられた敵はそのまま気絶した。
引き金に指をかけるガチペド。

ガチペド「はい1kill」

じゅどー「・・・」

ガチャッ CSの鬼、じゅどー。
彼がボルトアクションを行うたびに、確実に一人は死んでいる。

ゲイバー『あ〜ガチペドちょっと前出過ぎ。それ脇から叩かれるよ』

ガチペド『了解』

この二人のサポートのおかげで、ガチペド部隊は大胆な攻勢をかけることができる。

ゲイバー『タモンくんもうそこ動けるよ。こっち来て銃持って行って』

タモン『うーんもうキレたもん!!!!』
再び銃を手にしたタモンが突撃する。

ゲイバー『ちんちんか!??!?!いけなみさんじゅどーさんタモンくん援護して!???!』

いけなみ『うちに任せておけ』

じゅどー『・・・』ガチャッ

タモンを撃っていた敵が一人吹き飛んだ。

じゅどー『・・・!?』

じゅどーさんのスコープに、すでにこちらに照準合わせた敵のスナイパーが映る!!!
そして、いけなみの姿も映っていた。

いけなみ『それ"釣りピンク"だよw』

敵のスナイパーの首にナイフが突き立てられた。
いつの間にかギリースーツがピンク色になっていたじゅどーさんは格好の的だったのだが、
それもいけなみの計算だったのだ!!!!

ゲイバー『あ〜いけなみさん調子乗り過ぎ!?!?!?!』

いけなみの背後に敵が突進してきた!!!

いけなみ「へぇあ!?!?!」

じゅどー『・・・』

いけなみと敵兵が取っ組み合いになっており、じゅどーは撃てない!

いけなみ「あ〜いくいく!!!!」

パァン

いけなみ「・・・・!?」

敵がいけなみの横に倒れ込む。

あじ『はいkill steal〜www』

単独行動を行っていたあじりてぃが指示された道は案外通りやすくてショートカットになったのだ!

ゲイバー『あじりてぃいいですね!!』

タモン『おれの援護は!???!!?!』

そういえばタモンはまた一人で敵と応戦していた。

りこみつ『あいつら使ってる銃、こっちより性能低そうだからダメージ交換絶対勝てるでしょw』

ガチペド部隊の知識、りこみつ。
知識はすごいが戦闘経験がほとんどないため、独断先行が目立つ!!
そしてりこみつ一瞬で被弾!!
足を撃たれたりこみつが敵に引きずられて行く。
どうやら撤退を開始し、捕虜としてりこみつを連れて行くつもりだ!!

りこみつ『は?miaコールちゃんとしてくれよな〜”情報”しゃべってもいいんだぜ』

ガチペド『ま〜ずいですよこれ!!!』

先ほど山田達を追っていた部隊が合流したらしく、弾幕が厚くて追撃が難しい。
そのとき、敵の後方から爆発音が聴こえてきた。

らうす『集団戦いくかあ!??!?!』

らうすの本隊が間に合ったようだ。

格さん『あ〜なんやこのくそ外人ども殺す殺す殺す殺す』

まひふよ『別の部隊がさらにそっちに向かってるよ!りこみつ回収したらすぐに撤退して』

すでに今日の作戦はめちゃくちゃだった。
なんとかりこみつを回収し、逃げ切った新しい風小隊は、反省会を行っていた。

かーばんくる「今日の戦犯は・・・完全に山田やろw」

かーばんくるがねちっこく山田を責める。

山田「たしかに勝手にいったのは悪かったけど、その後の作戦が雑すぎるでしょw」

反省の色が全く見えない山田。

格さん「作戦が雑しゅぎるでちょw」

格さんが山田の真似をし煽る。

らうす「山田蹴れ」

タモンが山田蹴ったので、山田は骨が折れてしまい、野戦病院に送られた。

らうす「結果的にダメージ交換は勝ったけど、作戦としては大失敗やでこれほんまに〜〜〜!」

らうすは頭を抱えている。

ガチペド「うんちのことしか考えられないにょ〜〜〜!」

敵の追撃を逃れるためにしんがりとして残業していたガチペドが帰還した。
ガチペドはくそガリで身軽なために、よくこうして残業をさせられるのだが、精神がぼろぼろになっていた。

『やばやばやばっぴーーーー!!!』

先ほどのスカイプの通信記録を確認していたまひふよがそこだけ何回もリピートする。

タモン「おれやばやばやばっびーなんて言ってないでしょ!!!?!??」

タモンがキレて格さんを蹴ったので格さんは骨が折れてしまい、野戦病院におくられた。

かーばんくる「あれ、そういえばともなりは?」

らうす「出た時は一緒におったんやけどな・・・なんか一言もしゃべらんかったけど」

ともなりはマイクがミュートになっているのに気づかず適当にしゃべりながら独断専行していたため、いまだにジャングルをさまよっていた。

負傷者:山田、格さん、りこみつ
行方不明者:ともなり

今日の戦闘で新しい風小隊が受けた打撃は、決して軽いものではなかった。
常に最前線に立っていたタモンも数発被弾していたが、彼は大ライスを食べることによって一晩で傷が治ってしまうのだ。

ちなみにともなりは一度戦死しているが、特務機関K.I.Tの実験によりゴーレムとして蘇ったため、非常に頭が悪い。
しかしゴーレムともなりは体内にある術式を破壊されない限り死なないので、いい弾よけになるのだ。

ともなりが戦死した原因はゲイバーにあった。
その頃、開戦して間もないために各地で戦闘が激化していた。
日増しに厳しくなる戦場に、新しい風小隊は必死に戦った。
そんなある日のことだった。

ともなり『ねぇ格さん格さん、こ、ここってけっこうやばいんじゃないの?』

市街地に展開していた新しい風小隊は、その日の不気味な静けさに、かなり慎重になっていた。

格さん「お、そうだな」

いつもは饒舌な格さんも、緊張しているようだ。

ともなり「お、おれさ、ちょっとさ、そこの角んところ、ワード置いて来るね!」

ゲイバー「・・・」

ともなりは路地から大通りに面している曲がり角にワード置きに行った。
そこで悲劇が起きた。
敵に待ち伏せされていたのだ!!!

ともなり「ちょっちょっこれやばいって!!まずいですよあ〜〜〜〜もうだめだごめんなっさ〜〜〜〜〜〜いくいくいくいく〜〜〜〜!」

格さん「あ〜ともなり?!!?」

ともなりの援護をする暇もなく、敵が路地になだれこんできた。
決死の応戦で敵の攻勢が弱まった隙に、なんとか撤退することができたが、
ともなりの死は部隊を悲しみで包んだ。

山田「ともなり・・・明日CD届くっていってたのに・・・」

格さん「目の前でともなりが死んで行くのを、見ていることしかできなかったよ・・・」

格さんは一番ショックを受けていた。

ゲイバー「おれさ、絶対あそこやばいと思ったんだよな〜・・・おれはああなるだろうなと思ってたよ」

ここでゲイバーの悪い癖が出た。
格さんがゲイバーにつかみかかる!

格さん「じゃあなんであの時言わなかったんだよ!?!?!?」

ゲイバー「いや、だってあそこは言わなくても分かってないといけなかったでしょwおれはやることやってたしw」

格さん「言わねーと分かんないやつだろともなりはぁ!?!?!?」

格さんがゲイバーに殴り掛かろうとしたその時、らうすが口を開いた。

らうす「わいが以前おった所なら・・・もしかして・・・ともなりreconectできるかもしれんで」

そう、らうすは戦争が始まる前、科学者として特務機関K.I.Tにいたのだ!!
その後なんかもうすごい作戦でともなりの死体を回収し、機関に引き渡すことに成功したのだが、いかんせん死体がズタボロだったため、しゃあなしゴーレムでいっかってことになったのだ。(情弱四天王を参照)

ともなり「ミンナ、オハヨウ」
機関から戻って来たともなりは、以前となんら変わりなかった。

げいばー「ともなり・・・あんときはおれも悪かったよ・・・」

ともなり「オレ、ダイジョウブ、キニシテナイ」

格さん「ほんまに反省しとるんかゲイバーおい!!!!」

ともなり「カクサン、イイヨ、オレ、ミンナニ、アエテ、ウレシイ」

みんな「わははは!」

こうして新しい風小隊は、誰一人欠けることなく、今日まで戦ってきたのだ。

第二十六話 さっし変

私の名前はさっし。

アプリを開発することが趣味の、どこにでもいる普通の女子大生。

もちろん相棒はMac Book Pro。 通称MBP。
今日も私はスタバでアプリの開発中。

「う〜ん、明太子をたらこに変えるアプリ、なんてどうかな?」

私のタイピング速度はすごく速い。
私のすごい長い名前のコーヒーみたいなやつがそれはもうゴトゴトと動いてしまいにはカウンターへと戻ってしまうほどの振動が生み出される速度でタイピングするのよ私は。

「よっし!できたわ!早速このアプリを使って・・・」

私はできたてほやほやのアプリで、隣の席で明太子フラペチーノなんとかこんとかに狙いを定めた。

操作は簡単。 目標をセンターに入れて・・・

「スイッチタッーン!」

ものすごい勢いでエンターキーを押したわ私。

次の瞬間、ものすごい光が光った瞬間、となりの明太子はなんとたらこになってたわよ!

「あ!なんやこれ!わいの明太子が、た、た、た、たらこになっとるやんけ〜!」

となりの男は大慌てだわ。 私はハンカチで口元を隠しながらフスフスと笑った。 成功したのでAppStoreに出品。

場所は変わって大学の講義室。

もちろんMBPさえあれば、私はどこでだってアプリを開発することができる。

私にとって大学の講義など、わざわざ出向くまでもなく、自分の部屋で終わらせてしまえるレベルなのだわさ。

そんな退屈な講義の時間、私はやはりアプリ開発に打ち込む。

「今度はどんなアプリを作ろうかしら。」

日常の中からヒントを得、それを開発に生かす!
私の目は、一般の人々とは違う景色を見ているのだ。

「・・・・今日はだめね!」

私は芸術肌。 気分が乗らない時は無理をしないの


今日は講義の後にバイトが入っている。

親戚に紹介されて始めた焼き肉屋でのアルバイトだ。

このなんか注文を取る時のわけわからん機械なんて、MBPの操作に比べればおちゃのこさいさいよ!

「ご注文・・・ご確認をさせ・・・・だきます・・・え〜〜と・・・」ボソボソ

正直言って人付き合いが苦手だ。

いままでずっとパソコンと過ごして来た私に取って、人間など煩わしくて仕方が無い。

しかし、私の開発したアプリであほどもがアホ面下げてよろこぶを見るのが私の生き甲斐でもあるのだ。
心を殺せ・・・っ!

24時間のうち5時間程度ではないかっ・・・・

「大・・・ダイラス?が、おひとつ・・・・」

客もん「はぁ!!??!?!」

「えひっ!?!?!!へぇあ、す、すみませっへぇ〜〜〜ん!」

正直涙が出たが、それは裏に引っ込んでからだったのでセーフだ。

高校生のアルバイトに慰められたのが屈辱だ。

くそ、パソコンさえあれば・・・

とりあえず私の接客がくそ過ぎたので、まんまと私は厨房に配置された。

ふん、品のないやつらの相手など、私のすることではないのよ。

「さっしちゃん、野菜カットして冷蔵庫入れといて〜」

「ハ、ハイ・・・ヘヘッ・・・・ヘヘヘ・・・」

感情がないやつを相手にするのは最高だぜ!

包丁を振りかぶって、タマネギに振り下ろす!

(ガスっ)
「あ、あれ・・・?」

タマネギは切れず、なんかぼろぼろになっただけだ!

「お、お、おかしいな・・・」

がすっがすっ 私はひたすらタマネギを殴った。 全然切れないじゃない!

「あ、さっしちゃん!なにやってんの!」

とりあえず店長に怒られた。

私の目からとめどなく溢れ出す涙は、店長に怒られたからか、それとも、私のかたわらでずたぼろぼろんになっちまったタマネギのせいだったのか、バイトをやめた今ではもう分からない。

やっぱり人間なんてのはくそだ。 私にはMPBさえあればいい!

「ちきしょ〜〜〜見てろよあのくそ店長こらぁ〜〜〜〜〜〜」

復讐心が私の開発魂に火をつけた。 クリックした数だけ食べログに低評価をぶち込めるアプリを作ってしまった。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!!」

私は7ページ分ぐらいクリックをした。

1週間ぐらいして、あのゴミクソ焼き肉屋は潰れた。

私は勝利したのだ! この革命的なアプリによって!

私は講義中であるにも関わらず、完全勝利のポーズを取ってしまい、あだ名がロリスになった。

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第二十七話 アストルティアの住民たち その1

「ヤマダ、見ていてくれ」

せゆぴんはそう言って、ダンボールで作られた大剣を構える。

「や、やめろぉ!」

咄嗟に叫ぶヤマダ。
しかし、ヤマダはその場から動くことができなかった。
せゆぴんから放たれる凄まじい『気合い』。
ヤマダは声を出すのがやっとだったのだ。

ー数日前

「今度せゆぴんの家遊びに行くわw」

世間は冬休み。
しかし、半引きこもりの男たちにはあまり関係のないことだ。
今日もチームスピークでは、ドラクエ部が盛り上がっていた。

「せゆぴんち当てます。『糸魚川』」
「遠すぎやねん!!!!」

スピーカー越しに、せゆぴんの椅子が軋む音が聴こえた。

「まあ、遊びに来るのはいいよ」
「やったー!」

あまりにも暇すぎるため、なんの計画もなく、
ヤマダはせゆぴんの家に遊びに行くことにしたのだ。

「とりあえずガイアいこうぜ!」

チームチャットは挨拶の嵐で盛り上がっていた。

「こんばんは!」
「こばわー」
「こんばんわ」
「ガイア行く人〜」
「こんばんはー」
「おっす」
「こんばんは」
「こんばんは」
「こなbなは!」
「おばんですー」
「こんばんわ」

一瞬でガイア募集のチャットが流れて消えた。
やつらにとって、誰に向かって挨拶をしているかなどは重要ではない。
『自分は挨拶をした』という事実だけが、重要なのである。
挨拶に対して挨拶が返って来る。
にも関わらず、少しも暖かみを感じないのは、きっとそのせいなのだろう。

そんな形式だらけのチームチャットに、少し早い春一番が吹き抜けた。

アナル好きですか?

その後、彼の姿を見た者はいない。

「ガイア行きます!」

募集にいち早く反応したのは、僧侶のボイメアさんだった。
想像を絶する修行を積み、健康と引き換えに悟りの境地に至った高尚な人だ。

1万人助けました」

それが彼の口癖だった。

「よっしゃあと二人〜!」

募集をかけつつ、ボイメアさんを『なかま』に招待する。

『ボイメアさんがなかまに加わりました!』
「よろしく!」

アイコンきもすぎぃ!

「わいもいくで!」

次に名乗り出たのは、バトルマスターのらうす。
こいつはつい先日、シャバに出て来たばかりのやんちゃ坊主だ。
なんでもRMTの容疑でSTFに目をつけられたらしい。
牢屋の中で、タライでケツを叩かれる練習をしていたら、
きちがいかと思われて出所できたとのこと。

「わたくしの力が必要なのですわね!」

最後に現れたのは、チームB&Bの紅一点、賢者のやまにゃん。
リアルでは関西の新聞社の社長令嬢で、生粋のお嬢様なのだ!
『お嬢様式・零の洗礼』という最強のバフ解除スキルを持っており、
打撃完全ガードを使用してくるガイアには必要不可欠。

「お嬢様の力を見せてあげますわ!」

しかし、チーム内では、ある噂がたっていた。
やまにゃんは、実はお嬢様ではないのかもしれないという噂だ。
その噂の根拠は、やまにゃんがある日

「お嬢様なので毎日松茸ご飯を食べてますの!」

といってうpした画像が、完全にたけのこご飯だったのだ。
それでも、ゲーム内では正真正銘のお嬢様であり、
先日も、奮発して買いあさった装備をチームメンバーに見せびらかしていた際
RMT疑惑をかけらて秘密の隠れ家に四日間ぶちこまれていた。
留置されている間も、暇すぎて松茸ご飯食べるしかすることがなかったそうだ。

「豪華メンバーすぎやろ!?!?」

せゆぴんの声が音割れするほど大きくなる。
それほどまでに、今回のメンツはすごいのだ。
これならば、ガイアも倒せるかもしれない。
せゆぴん、ボイメア、らうす、やまにゃん。

『B&B四天王』がここに集結したっっっっっ!!!!!!!!!!!!

第二十八話 ジャッキー・トノムラ編

「キーーーーーーー!キーーーーーーー!」

マイクの向こうから聞こえてくる、大自然の優雅な調べにも似たセキセイインコの鳴き声。

これこそジャッキートノムラその人である。

「よう!おいらはジャッキー!げいばーに飼われているオカメインコだぜ!」

ジャッキートノムラの朝は早い。

東の空が白みをおびてくるころ、ジャッキーの仕事は始まる。

「アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

「なんやねん!!!!!!!!!!!!」

「起きたなげいばー!おれっちの朝飯を忘れてもらっちゃ困るぜ!」

「いいぜ!」

ジャッキーのえさ皿にえさが注ぎ込まれる!!

「っう~~~~んたまらん!!!!!!!!」

猛烈なくちばしさばきで、えさ皿はもうやばい!!!!

「ああああああああああああああああああ!!!!」

えさっぴー!!!!!!!!!!!!!

なあげいばー。

おれがいま、どんな気持ちでこれを書いているか分かるか?

お前の鳥さんをよぉ

こんな

こんな・・・・!!!!

「ん!ん!ん!」

ジャッキーの肛門が盛り上がる!

これは!!!

「やばい!!!!」

えさ皿にえさが・・・・・・

鳥は、うんこをすると、猛烈に体温が上がる

うんこをして体があったまったジャッキーに、問答無用でちんぽを突っ込むげいばー。

その表情は恍惚としていた。

どっぴゅーとのむら!!!!!!!!!

第二十九話 ゴーレム編

おいらはともなりだとも!

人間の心を持ったゴレームだなり!

いやんばかん

お!あいつは鳥っぽいな!あいつは鳥だ!

ぴっぴっぴっぴ

ほら見ろ鳥や!!1!!

ごめんなっさ~~~~~~レム

第三十話 猫編

にゃうぅ〜〜〜〜〜ん!

第三十一話 こまり大学生編1

わたしはこまり。
ついこの間、高校を卒業したばかりのニュービー。

合格が決まってからの冬休みはばっちり免許も取りに行った。

行っただけで取得できなかった。

130歳の教官を乗せて教習していた時にエンストを起こし車がめっちゃガクガクしたせいで、教官が死んでしまったのだ。

事態を重く見た教習所は「なんか知らんじいさんの死体がずっと前から乗っててエンストの衝撃でシートから出て来た」ということにしたので、実質わたしはおとがめ無しだった。

わたしがあの時、シフトレバーと教官のちんぽを間違えていなければ・・・こんなことには・・・!

そう。 本当はエンストではなく、間違えて握った教官のちんぽがものすごい勢いで射精してめっちゃガクガクし、テクノブレイクしちゃったのだ。

これにはわたしもびっくりしたのだ。

そんなこんなで免許が取得できなかったわたしは、親戚のおじさんから骨董品のような原付バイクを譲ってもらい、無免許で乗り回していた。

堂々としていればなんのことはない。

車に比べればこんなもの、ちゃりんこと一緒や。


大学に入学する前、新しい風学級の先輩たちが、自分たちで会社を立ち上げ、3日で倒産、消息不明になったことを知った。

唯一その騒動に巻き込まれなかったさっしちゃん先輩が、偶然にも同じ大学だったからだ。

「らうすさんとか、いまどうしてるんすかね」

私はサンドイッチをほおばりながら、さっしさんとコンビニの前で話していた。

「さあね。みーんな借金抱えて、いまも逃げてるんじゃないかしら」

さっしさんは大学に来てタバコを吸うようになった。

ずいぶんと大人びて見える。

「そういえばさっしさん、焼き肉屋でバイトしてましたよね?今度行っていいっすか?」

私がそう聴くと、さっしさんはゲホゲホとむせ返った。

「大丈夫っすか?」

「あ〜、あ、うん。ちょっと煙がね。わたしヤニ切れるとまじやべえから」

たしかにやばそうだ。

「そんで、今度友達と一緒に行ってもいいすか?」

今度はエフッエフッとむせ返っている。

「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ヤニくらやべえわ〜〜〜〜〜〜〜〜やべえわこれあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜やばいっぴ」

やばそう。

「あの〜、今度バイト先・・・」

何考えてんだお前いい加減にしろ1??!?!

さっしさんは突然怒り出し、火のついたタバコを5本まとめてぱくっとやってからまた出した。

「ふぅ〜〜〜〜ごめんごめんわたしヤニ切れるとまじやべえんだ」

喫煙者って大変なんだな。

「あの焼き肉屋ね、やめたわ。なんかね、店長がすっごいセクハラしてくんの。わたしとすれ違った時に残り香回収するのやめてほしいわ。」

タバコを灰皿でもみ消しながら、さっしさんはパソコンを取り出す。

「あー、もう昼休み終わっちゃうよ。こまりたそ、次授業?」

「あ、いえ、どうしよっかなーって」

「わたし次1コマ空いてて中途半端に暇なんだよね。もし今日さぼるんならさ、ちょっとぶらぶらしてこない?」

「あ^〜いっすね。マンガ倉庫とか行きましょうよ!」

さっき吸ったばかりなのに、さっしさんはまた新しいタバコに火をつけていた。

「ふーーーーーーーーっ。マンガ倉庫この辺ないでしょ」

おもむろに歩き出したさっしさんについて、私も歩く。

少し行った所に、さっしさんの車が停めてあった。

「ここ学校の駐車場だったんですか?」

「ちげーよw」

これが大学生・・・・! 私は改めて大学生を実感し、興奮した。

さっしさんの車はめっちゃ汚かった。

タバコの吸い殻で山盛りになった空き缶がドリンクホルダーを占領し、レジュメやらバイトのシフト表やら教科書やらが散乱している。

それは後部座席も同様で、よく見るとスーツがしわくちゃで押し込まれていた。

さっしさんは助手席のゴミをがさーーーんと後部座席に放り投げ、わたしに座れと合図した。

なんとか座ることはできたが、足下にはまだ大量のゴミがあった。

「あー。それ踏んじゃっていいから」

さっしさんが乗り込み、バタンとドアを閉めると、後部座席から荷崩れする音がした。

ええい、ままよ!

とりあえず普通に足をおろしてゴミを踏んづけた。

ちらりとさっしさんを確認したが、なんでもないような顔で車のキーを回していた。

「あ〜の〜・・・いつから掃除してないんですか?」

恐る恐る聴く。

「免許取ってから」

すげぇ・・・!

「わたし、掃除って全然生産的じゃないと思うのよね。洗い物なんて、特に嫌い」

「え〜・・・さっしさんてそんな人でしたっけ?」

エンジンのかかる音。

「アプリ作ってる方が、よっぽど生産的よ!」

さっしさんが膝に乗せたパソコンをタタンッと叩くと、フロントガラスいっぱいにナビが表示された。

すごい!こんなのって・・・

「あ〜〜〜〜〜〜くっそ見づらいわ!!!!!!」

さっしさんはそう言いながらアクセルを踏んだ。

ミニマップの影から飛び出して来た学生が宙を舞った。

フロントガラスに血がべったりと・・・

「見づらいつってんでしょ!!!」

さっしさんはワイパーを動かしながら駐車場を出た。

「今度、ワイパーの速度が二倍になるアプリでも作ろうかしら・・・」

ぶつぶつとつぶやくさっしさんは、かなり大学生っぽくて、わたしは改めて尊敬した。

第三十二話 ともなり編

この新しい風高校には七不思議がある。

その中のひとつが、「ともなりさん」の噂だ。

廊下を歩いていると、突然周りから人の気配が無くなり、しばらく一人で廊下を歩いていると、ともなりさんが出て来る。

この時、ともなりさんと目を合わせてしまうと、廊下の向こうへ連れていかれてしまうらしい。

しかし、目さえ合わせずに、ともなりさんの横を通り抜けることによって、この怪異から抜け出すことができるという話だ。

「あ〜、忘れ物するなんてまずいですよ・・・うおぉ〜〜」

ある日、新しい風学級の生徒である「なかしょう」という少年が、忘れ物を取りに放課後の教室にやってきた。

明日提出の課題を机の中から引っ張り出すと、なかしょうは急ぎ足で教室を出る。

夕日はもう建物の影に隠れるほど低く、校舎に闇を落とし込んでいた。

普段知らない校舎の雰囲気に、肌がじっとりと汗ばむ感覚を覚えながら、なかしょうは廊下を歩く。

もう生徒は残っていないようで、しんと静まり返った廊下にはなかしょうの足音だけが響いた。

ふと、視界の端にちらつく影があった。

思わず足を止めるなかしょう。

薄暗い廊下の先に、それは確かにいた。

ともなりさんだ。

「っ・・・」

悲鳴を上げそうになるのをぐっとこらえ、噂通りに、目を合わせないように、なかしょうはともなりさんに向かって歩き出した。

階段はともなりさんの向こう側にあり、避けては通れなかったからだ。

少しずつともなりさんとの距離が縮んで行く。

少しずつ、少しずつ・・・

「お”お”い”!!!!!!!!」

突然ともなりさんが叫んだ。

何が起きたか分からず、咄嗟に声の方を見るなかしょう。

そこには、何事もなかったかのように、棒立ちでこちらを見つめるともなりさんがいた。

「ともなりくん、天才か?」

しまった!と思った頃にはもう、しっかりと目を合わせてしまっていた。

噂の中では、ともなりさんはこのように、目を合わせるようにしむけてくるなんて話は聴いたことがなかった。

全身の血がひいて、代わりに鳥肌が立つのが分かる。

やばいやばいやばい!

やばい!

なかしょうは全力でともなりさんの脇をすり抜け、階段を3段飛ばしで降りた。

追って来る気配はないが、とにかく今は逃げないと・・・本能がそう告げている。

目を合わせた者は、廊下の向こうへ連れて行かれる。

それがどうなるのかは分からないが、二度とは帰れない気がする。

途中、踏み外しそうになりながらも、なんとか昇降口まで駆け下りたなかしょうは、息を切らせながらも、下駄箱へと走る。

「はっ・・・はっ・・・・はっ・・・・!?」

出口はもう目の前だ、という所で、なかしょうは足を止めざるを得なかった。

下駄箱の前に、ともなりさんがいたのだ。

追って来ている気配は無かったし、階段をそのまま降りて最短コースで下駄箱へ走ってきたのに

ともなりさんが先回りすることなんてできないはずだ。

恐怖に支配されたなかしょうの両足は、もはや走ることはできなかった。

下駄箱の前に立って、こちらをじっと見つめているともなりさんとの距離が、いつの間にか縮んでいる。

ともなりさんはぴくりとも動いていないのに、影がだんだんと伸びるように、ともなりさんがじわじわと近づいて来ているのだ。

次第にともなりさんの口角がつり上がっていく。

分厚いメガネの奥から覗く大きな目は、ほとんどが黒目だ。

口角はあがっても、決して目は笑ってなどいない。

口の両端からよだれが垂れている。

そこまで来ると、ともなりさんがずっと何かぼそぼそ言っていることに気づいた。

耳にまとわりつくようなぼそぼそという音がだんだんと大きくなり、とうとう何と言っているのかが分かってしまった。

「キレソ…キレソ…キレソ…キ レ ソ 」

そこでなかしょうの意識は途絶えた。

次に目を覚ました時、なかしょうは真っ暗な昇降口で倒れていた。

慌ててケータイ電話を取り出し、時間を確認すると、時刻はすでに真夜中だった。

辺りを見回しても、ともなりさんの姿は見えない。

あれは、一体なんだったのか・・・。

鳥肌が立つ腕をさすりながら下駄箱を開ける。

「殺すぞ」

次の日、新しい風高校は大変な騒ぎとなった。

下駄箱の中に、生徒の一人がひき肉のようになって詰まって死んでいたからだ。

血はどこにもついておらず、下駄箱の向こう側からとてつもない力で引っ張られたような状態だったそうだ。

ともなりさんは、いまでも新しい風学級に戻っていない。

第三十三話 ゆっくりとした風編

ある所に、とってもゆっくりとした小さな群れがあった。

その群れのゆっくり達は文字通りゆっくりとした日々を過ごし、有能な長がいるのだろうか、すっきりーのしすぎで数が増えるなどということもなかった。

しかしそれは食料が乏しいからではないようだ。

どの饅頭もまるまるもちもちです。

「やでー!ドス、きょうもごはんさんをよろしくなんやで!」

一匹のらうすが、その場でぽんぽん跳ねたかと思うと、なんと地面からわんこそばが『勝手に』生えてきた。

「やでー!うっめ!これほんまうめ!」

らうすは生えて来たわんこそばを食べ散らかし、あっという間に平らげてしまった。

「しあわせ〜〜〜〜!ドス、ゆっくりあんがとさん!」

らうすはお礼を言うと、ずーりずーりとどこかへ行った。

そう、食料に困ることがないのは、食べたい時にお願いすれば、いつでもごはんさんが勝手に生えてきてくれるからなのだ。

しかしらうすはドスの名を口にしていた。

一体なんでや

「ドスー!わいにもごはんさんおねがいしますなんやでー!」

「ゆ!こまりもおとななごはんさんをたべたいわ!ドス、おねがいしますわ!」

見れば、いまはちょうどお昼時なのだろうか、至る所でゆっくりたちがわんこそばを食べていた。

そしてどのゆっくりも、ドスにお願いしている。

見渡しても、ドスらしき大きなゆっくりはいない。

3mほどのたもん種はいるが、この大きさではまだ子たもんなので、このたもんがドスである可能性はない。

それに共通しているのが、みんなその場で跳ねながらドスにお願いをしていることだ。

誰に向かって言うわけでもなく、その場で跳ねなが

そしてここが最高のゆっくりプレイスであるもう一つの理由。

それは、せゆぴんやげいばー、しんや、てつやなどの補食種が一切生息しとらんことや。

天敵はおらず、餌は食べたい放題。

2つだけだが、この2つこそが最高にゆっくりするための究極の条件なのだ。

しかし、この人間の世で、こんな最高のゆっくりプレイスが本当に存在するのだろうか。

読者のみなさんの中では、もうお気づきになった人もいるだろう。

そう、このゆっくり達が住む小さな山、なんとこれは『ドスたもん』なのだ!

たもん種がよく自分の体に数匹のゆっくりを乗せて歩いているのを見かける。

たもん種は東北の厳しい自然環境に対応するため、赤たもんで1m、子たもんで3m、成体では最大7mにも達するのだ。

その巨体は、皮がとても厚くて丈夫なため、人間でも駆除することは難しい。

しかし、基本的にたもんは駆除対象にはならない。

たもん種は非常におとなしく、滅多に人里に降りてくることがないからだ。

ちなみにたもん種のお飾りは下半身に着いている「まわし」だ。

時折山から聴こえて来る地響きは、たもんが「四股を踏んでいる」と、田舎では言われている。

そんな巨大なたもんの中でも、さらにでかいのがこのドスたもんだ。

ドスになった途端、その体は小さな山一つ分の大きさになる。

ドスになった個体はどの種族でも食料を必要としなくなり、またこのたもん種は体からわんこそばを生成することができるようになる。

しかしドスたもんは、あんまりにも大きくなりすぎて基本的に動くことができなくなるため、長い年月じっとしとる間に木とか草とか苔とかが生えてなんか山みたいになるんや。

そんでさっきのゆっくりの群れは、うまいことドスたもん山をみっけて世話になっとるっちゅーわけや。

ほんまにじ〜〜〜〜っとするだけで、たしかにゆっくりできるけどあんまおもんないわって感じのドスたもんにとっては、自分の背中で小さなゆっくりどもがゆっくりしとるのを見るのがいっちゃんゆっくりできることやさかい、飯ぐらい食わしたろってことや。

「ゆっ!ここをやまだのゆっくりプレイスにするよっ!」

キリッとした表情でおうち宣言をしたのはやまだ。

しかしそこは、たまたま留守にしていたらうすのおうちだったのだ。

「や、やで〜〜〜〜!?!?そこはらうすのおうちなんやで!ころすぞほんまに!」

らうすがお飾りであるトランジスタをわさわさとさせて威嚇する。

しかしやまだは何食わぬ顔でらうすのおうちに入ると、ゆっくりおひるねを始めてしまった。

「しねしねしねしねしねしねしねしねしね」

その時、どこからか変な鳴き声が聞こえたきた。

「なかむらだあああああ!!!!!!」

その声を聴いた途端、やまだは飛び起きてがたがたと震え出した。

「ごべんなざいいいいい!!!!やばだがわるがっだでずうううう!!!」

「しゅっしゅっしゅっしゅっしゅっしゅ」

「ゆんやあああああああああ!!!!!」

「ありがとうなんやでなかむら!」

「しゅっ!しゅしゅ!」

これはゆっくりなかむら。

この群れの警察役をやっているゆっくりだ。

基本的に頭が悪く、言葉が話せない。

「ゆ”っゆ”っゆ”っ」

なかむらの登場にやまだは瀕死だ。

「こんなゲスはせいっさい!なんやで!わいがやったるで!」

らうすは大きく跳ねたかと思うと、やまだを踏みつぶすべくそのままのしかかる!

その時!

「このいなかもの!」

「やでぇっ!?!」

突然現れたゆっくりこまりに弾き飛ばされるらうす。

「ゆっくりごろしはいなかものだわ!おとななこまりがゆるさないわよ!」

「やびええええええん!!!」

そこらのゆっくりより一回り小さいゆっくりこまりの体当たりを受けて、らうすは泣きわめいている。

「しゅ!しゅしゅしゅしゅしゅ!!」

これになかむらが怒る!

「うっせーなあほのなかむらはゆっくりできんわは〜じまってしまったせいさいに」

いつの間にかいたゆっくりかくさんもなかむらを責める!

「じゅっじゅっじゅっじゅ」

なかむらは痙攣しながら中身であるティッシュを吐き出してしまった。

このこまりはやまだのつがいで、かくさんはしんっゆう!だ。

そうでなくともゆっくりごろしはゆっくりできないので、この状況ではらうすに味方するゆっくりはいないだろう。

「おさ〜〜〜〜!このらうすがゆっくりごろしをしようとしたよ!」

やまだがつばを飛ばして叫ぶと、長が出て来た。

「おさです」

長だ。

このゆっくりが発見された当初は、人間のばらばら死体かと思われたが、この足の形をしたゆっくり、これはゆっくりまひょである。

おいらうす、いくらなんでもゆっくりごろしはやっちゃいけないでしょ」

端から見れば人の足がしゃべっているように見えてきもい。

「や、やで!?でも、そこのやまだがわいのおうちを・・・」

「いいわけはみぐるしいぞ!」

怒ったまひょは、中身である桜島の火山灰を噴き出した。

これにはらうすもたまらず体をくの字に折り曲げて土下座?のようなポーズをする。

「ゆっくりごろしはゆっくりできないよ!せいっさい!するよ!」

制裁という大義名分を得たやまだは、土下座しているらうすに渾身ののしかかりをお見舞いした!

「やっぶえええええ!?!?!?もっどゆっぐりじだが・・・」

らうすは中身の紫外線をぶちまけて死んだ

「ゆっふん!ゲスならうすがやまだがせいっさいしたよ!」

「こまこま〜!やっぱりこまりのだーりんはさいっきょうだこま!」

「ちょてんぺちいみちゃいにゃ〜♪」

かくさんはおうたが得意なのだが、おうたを歌うときはなぜか赤ゆ言葉になってしまう。

第三十四話 ぼいぼーい波瀾万丈編

ぼいぼーいは・・・そう、ぼいぼーいは、孤独であった

小さい頃に孤児となり、30を過ぎたころにようやくシスターに拾われたのだ

シスターさんの献身的なカウンセリングにより、ぼいぼーいはなんとか人並みの知能を取り戻すことができた

いまでは一人で着替えもできるほどになった

ぼいぼーいは孤独ではったが、シスターさんがいるので寂しくはなかった

しかし、そんな日々も長くは続かない

シスターさんはすでに高齢だったので、ぼいぼーいが35歳の誕生日を迎えた後、普通に死んだ

「ぼいいいいいいいいい!!?!!?!成仏ですかこのやろーーーー!!!!」

ぼいぼーいは悲しみに明け暮れた

シスターさんがいなくなったことで、ぼいぼーいを良く思っていなかった連中にいじめられるようになった

「やめるぼい!痛いぼい!あ、そこ痛いぼい!やめぼい!」

心身ともにずたぼろだったぼいぼーい

そんなある日、ぼいぼーいはあるものを見つけた

シスターさんのPCで遊んでいた時、偶然クリックしたあるゲームが起動したのだ

League of Legends

それは彼の荒んだ心を、あっという間に引き込んでしまった

ぼいぼいーはそのゲームに打ち込んだ

来る日も来る日もノーマルを回し、気づけばレベルは30になっていた

「や、やっとレベル30ぼい!みんなは30からが本番だって言ってるぼい・・・天国のシスターさんのために、がんばるぼい!」

ぼいぼーいは、自分の勇姿をたくさんの人に見てもらいたいと、ネットで配信を始めたぼい

「ああんもういまスキル押したぼい!!!!!!!ふざけんなぼい!!!!!!ぼ!?!??!ぼいがやられてるのに味方がこないぼい!!!!こんな味方じゃ負けるにきまってるぼい!!!!」

ぼいぼーいの配信はすぐ人気になったぼい

毎日たくさんのコメントがついたぼい

ぼいぼーいは、もはや孤独ではなかったぼい

自分はいま、世界とつながっているぼい と、感じることができたぼい

配信は賑わい、ついにはチームにまで所属したばい

ばってん、そこからもたくさんの苦労をしたばい

今日は、世界大会の決勝戦

大歓声が飛び交う中、ぼいぼーいは静かに座っていた

寝ているわけではなかった

瞳を閉じると、ぼいはいつでもそこに、シスターさんの姿を見ることができた

あれからどれだけの月日が経っただろうか

ぼいぼーいはもう一人ではない

信頼できる仲間がいる

ぼいを応援するものがいる

そして、シスターさんはずっと、ぼいのそばにいたのだ

目を開けたぼい

その目には不屈のぼいが灯っている

「さあ、いくぼい!」

ぼい、ぼいぼいぼぼいぼ、ぼいぼい

ぼぼいぼぼぼい、ぼぼ!

ぼい!!!!!!

第三十五話 こまり大学生編2

「お、う、おぉ、ぇえぶっ!」

ボロン!

マンガ倉庫についた途端、エアバッグが出るはずの場所から大きな紙袋が飛び出し、こまりのゲロを受け止めた。

「えぇーーーーぶっ!えぇえええぶ!!!!!」

隣ではさっしちゃん先輩も激しく嘔吐していた。

道中は、痛快ながら悲惨なものだった。

フロントガラスにでかでかと映し出されたミニマップがあまりにも邪魔すぎるため、何度も歩行者を跳ね飛ばし

さらにさっしちゃん先輩の運転があまりにも荒すぎるため、目的地についたという安心感がゲロなってこみ上げてきたのだ。

なぜさっしちゃん先輩が嘔吐しているのか分からなかったが、多分ヤニが切れたのだろう。

出発してからしばらくしてさっしちゃん先輩は体中のポケットをまさぐっていたが、学校で吸ったのが最後だったのだろう。

それからは余計に運転が荒くなった。

ちなみに運転している自分が嘔吐することは思いもよらなかったのだろう。

運転席はさっしちゃん先輩のゲボで溢れていた。

めっちゃ臭い。

「あ、先輩のお昼ご飯、ラーメンだったんですね」

「えーーーーーーーーーーーーーーーぶ!!!!!!!!!」

数分後、吐き気が収まった二人はやっと車外に出ることができた。

「あ〜、25番ください」

いまはさっしちゃん先輩のタバコを買いに隣にあったコンビニに来ている。

さっしちゃん先輩は相変わらずゲロまみれだ。

こまりは紙袋があったので大丈夫やった。

「ふ〜〜〜〜〜〜!生き返るわぁ!」

やっとタバコが手に入ってご満悦のさっしちゃん先輩。

5mほど離れて歩くこまりは、やっぱりヤニ切れるとやべぇんだと、改めて確認した。

「あの〜、先輩、先に服買って着替えません?」

おずおずと問いかけるこまり。

煙を吐きながら自分の服を確認し、さっしちゃん先輩は忌々しげに舌打ちした。

「運転席にも、紙袋つけよっかな」

結局さっしちゃん先輩はゲロまみれのまま店内をうろついて追い出された。

曰く、「どうせ帰りも乗るから一緒」とのことだった。

私はとりあえずお目当てのゴーレムフィギュアとコンビニ戦乙女ちあきのフィギュアを見つけて、そっとカバンに入れて店を出た。

ちょろいもんや

店を出ると、ゲロがタバコを吸っていた。店に入る時はちょうど清掃後だったのか、灰皿は綺麗になっていたはずだが、すでに山盛りである。

「そんな吸っちゃったら、帰りにまた無くなりますよ。わたしもうゲロは嫌です」

「お、そうだな」

次の1本を取り出そうとしていたさっしちゃん先輩は、箱の中をちらりと見ると立ち上がった。

「あ〜あ〜あと1個授業あんのにさ〜〜〜〜〜あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜やだもん!!!!!!!!」

先輩、あの格好で授業出る気なのかな。

「よ〜し乗り込め〜!」

バン!ビチャ!

「えーーーーーーーーーーーーーーーーーっぶ!!!!」

すごい勢いで乗り込んで即嘔吐するさっしちゃん先輩。

自分のゲロに座り直す気持ち悪さを想像すると無理も無いか。

「運転代わりますよ!」

バン!ビチャビチャ!

「こ、こ、こ、こまーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

他人のゲロの衝撃は凄まじく、こまりはあっけなく嘔吐する。しかし、その目には揺るぎない決意が映っていた。

「うっぶ…行きますよ先輩!ぶぅーーーーーーん!!!!!」

シフトレバーがバックに入ったままアクセルをベタ踏み!!!!!

こまりとさっしを乗せた車は吸い込まれるように店内へと消えていった。

第三十六話 孤独のともなり編

ともなりはある日、普通に死んだ。

普通の学生が、普通の事故で死んだ。

ありふれた死であった。

しかし、その中で唯一、彼が普通とは違ったところ。

それは彼が金玉工業大学の学生であったということだ

不幸中の幸いとでも言おうか、頭部を強打して死んだともなりの体は比較的きれいなものだった。

だからこそ、彼の遺体は実験サンプルとして、金玉工業大学(以下、金工大)の研究室へと送られたのだ。

金工大には学生が不慮の事故で在学中に死んだ場合、遺体と引き換えに授業料を返還するという

そうして研究室に運び込まれたともなりの遺体は、当初は本当にただの実験材料として、ある程度いじくったら焼却処分される予定だった。

しかし、とある魔術のインデXにどはまりした教授が見よう見まねでなんやかんややったところ、ともなりが生き返ってしまったのだ。

正確には・・・生き返ったというより、体内に施された術式がその体内から生前のあらゆる情報(記憶)を集め、ともなりの人格を形成し、肉体を動かしていることになる。

当然、両親は喜び、彼の友人達もまた同様に喜んだ。

「オレ、ミンナニ、シンパイカケタ。メンゴ、メンゴ」

事故前となんら変わらない様子に、事情を知る一部の研究者も圧倒され続けていた。

死体をいじったらゴーレムになって復活しました!などとはあまりにも非人道的行為は、金工大の中でも過去最高機密となっていた。

両親はアホだったので「死んだと思ってたけどなんか突然生き返った!誤診だ!」と言ったらすぐ納得した。

それにゴーレムとなったともなりは新陳代謝が必要なくなったため、飯も食わず排泄もせず老化もせずと、非常にエコな体を手に入れた。

生前の記憶からか、なんとなくお腹がすいたなと感じたときも、なんか柔らかそうな土とかを食べたらそれで満足できた

周囲の人間もともなりだからねと、それを不自然だと思いもしなかった。

ともなり、いや、トモナリは、ただ漠然と幸せだった。

この体を手に入れてからは、まず食う必要が無くなったので、『生きるために働く必要』も無くなった。

そして、定期的にデータを取らせることで、学校側から十分すぎる謝礼を受け取っており、家族の負担を大幅に減らすことができた。

もちろんこれには口止め料も入っていたが。

本来ゴーレムは土塊であり水というものが天敵なのだが、トモナリの場合は人間の体内に術式を組み込むことによってそれを克服していた。

実質無敵なのである。

どちらかと言えばキョンシーみたいなものかもしれないが、術式を施した教授が「ゴーレムの方がかっこいいもん!」と譲らなかった

そのため、トモナリの体はデータ採取の際にメンテナンスも施された。

トモナリはこの後60年、事故当時のままの姿で生きることとなる。


〜60年後〜

金工大の組織の働きにより、そのあまりにも超自然的な存在を世間に知られること無く生きて来たトモナリ。

両親はとうの昔に他界し、友人達も次々にこの世を去って行った。

この頃からトモナリは、体に不調を訴え始めた。

トモナリの肉体は、『人間の肉体』の維持が困難になったため、人工の物に取り替えられた。

その技術力は確かなもので、周囲からそれが人工の体だとは分からないほどだった。

つまり、トモナリの体になんら異常は見当たらないということ。

それでもトモナリは不調を訴える。

トモナリは考えた。

一体この不調はなんだ?

いや、オレはこの感覚を、知っている。

知っていたはずだ。


トモナリの体に起きた不調、それは『感情の再起』だった。

事故当時トモナリの脳は悲惨なことになっており、その後遺症として感情が無くなってしまっていた。

しかし医学的には即死だったためそんなことは誰も気づかず、ゴーレムとして復活した。

『ゴーレムだしこんなもんやろw 』

それが機関の認識であり、

『ともなりやしこんなもんやろw 』

というのが周囲の認識だった。

しかし長い長い年月を経て人と接していたことが図らずもリハビリとなり、ようやくトモナリに感情を芽生えさせたのだ。

実際両親や兄弟、友人が死んだ時もトモナリは悲しまなかった。

あまつさえ、お焼香の時にひとつまみのそれを食べたほどだった。

しかし、孤独となったトモナリには考える時間だけがダラほど残された。

トモナリはだんだんと、逃れようのない、『謎の不調』に付きまとわれるようになった。


それからさらに50年・・・

人類は、ほとんどが消滅していた。

核戦争による終末が訪れたのだ。

荒れ果てた大地には、かつての文明の跡がひっそりと見受けられる程度であった。

その廃墟の中、一つだけ大きく異彩を放っているものがあった。

それは戦前に金工大が核シェルターとして作った巨大な図書館『ライブラリーセンター』だった。

10階建てほどの高さのあるこの建物は人類が絶えたあともその頑丈さから皮肉にも崩れずに建っている。

そしてその屋上にトモナリはいた。

本当の意味で孤独となってしまったトモナリは、自分の中に芽生えた不調をしっかりと『感情』として理解するまでになていた。

トモナリの眼下に広がる荒れた大地。

トモナリは迷いも無く、空に足を踏み出した。

ぼぉん!!!!!!!!!

凄まじい音が響き土煙がまう。

それが晴れると無傷のトモナリが天を仰いでいた。

ボソボソ           

           ボソボソ

    ボソボソ

トモナリは・・・なぜ自分が生きているのか分からなかった。

両親、兄弟、友人。

それらを全て失ってまで生きている価値がどこにあるのか分からなかった。

トモナリは孤独だった。

孤独の正体は、ゴーレムゆえの『不死』。

かつては家族のためになると喜んだこの体は、それらを失ってからはまるで牢獄のようだった。

術式を守るために強化されたこの人工ボディは、まさしくそういったものだった。

ボソボソ           

    ボソ

「コロシテ…コロシテ…」

トモナリはこれから地球が滅ぶまでそうつぶやき続けるのだろう。

もはや自分で死ぬことは叶わない。

自分で自分を破壊しようとしても術式に組み込まれた信号がトモナリの腕を止める。

ならばとLCダイブを試みるもその体はあまりにも頑丈すぎたのだ。

「コロシテ…コロシテ…」

ザ―――――――――――――――――

放射能を含んだどす黒い雨が、スコールのように降り始める。

それは、涙を流すことのできないトモナリの代わりに空が泣いているように見えた。

ザ―――――――――――――――――

「死ねおらーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!はい、GG!!!!!!」

わたしはこまり。

新しい風大学の1年生、いや、今年からは2年生だ。

ハイレベルな大学を受験し見事に失敗、滑り止めのカス大学に引っかかった典型的な負け組だ。

変なプライドから大学デビューにも失敗し、いまでは立派なぼっち。

学校から帰ってPCと向き合う時間が増えてから、私はネットにのめり込むようになった。

ああ、私の勝利をたたえる朝日が眩しい!

徹夜でくそ日本人を叩きのめし、気分よく学校へと向かう支度を始める。

「あ〜〜〜〜、メンドクサ……」

わたしは風呂に入ることが人一倍めんどくさく感じる。

特にいまの時期は汗をかくわけでもなく、シャワーですら2日に一回ぐらいの頻度だ。

今日も今日とて徹夜明けの倦怠感が手伝い、洗面台に頭を突っ込んでシャンプーだけで済ませた。

天パであるため、特にセットするでもなく、適当にドライヤーを当てながらわしわしするだけでなんか良い感じにキマる。

高校生の頃は天パが嫌で仕方なかったけど、いまでは便利に感じる。

部屋に戻り、服を選ぶ。

といっても、選ぶのはシャツだけ。

大学に来てからというもの、ズボンとインナーは3日ほど同じものを着続けるようになったため、シャツだけ換えている。

人間関係が極端に薄情になる大学では、誰が毎日同じ服を着ていようと気にするやつはいないのだ。

気にするような友達もおらへんのやけどな。

適当に身支度を済ませ、部屋を出る。

「でりゅっ!!!!!!!!!!!!!」

私は出かける際、アパートの通路で叫ぶのが習慣となっている。

誰かに知っててほしいのだ。

今日も私が生きていることを。

ぶろろろ〜〜〜〜〜〜〜ん!

親戚からもらったくそぼろいスクーターで、早朝の街中をつっきる。

旧世代のものらしいこのスクーターにはタイヤが二つもついていて、しかも液体燃料で走っている。

現代では考えられない、骨董品のような乗り物だ。

でもわたしはこの無骨な感じが気に入っている。

今時、液体燃料で走る二輪車なんてものに乗っているのはよっぽどの物好きか、変人でしかないが、アパートの大家さんである230歳ぐらいのじーちゃんは昔を思い出すといって、頼んでもないのによく手入れをしてくれたりする。

旧世代の道具は、一度壊れるとそれを修理するための部品がもうほとんど無い。

ネットで半端ない値段で売られていたりするが、大家さんは技術革命が起こる前に技術屋をやっていたらしく、部屋の奥に謎の金属部品が詰まった箱が積まれているのを見たことがある。

売っちゃえばいいのになぁ。

とはいえそれに助けられているから、なんとも言えない感じだ。

一度、信号の無い大通りを我が者顔で横断するおばちゃんをわざと跳ね飛ばした時、勢いをつけすぎたせいかどっか調子が悪くなって動かなくなったことがあったが、これも大家さんがいじって直してくれた。

「こ〜こ〜ろ〜ごぉとぉ〜〜〜〜〜〜〜♪」

くそうるさいエンジン音をいいことに、全力で歌いながらの移動は最高に気持ちがいい!

そういう所も、わたしがこの粗大ゴミを気に入っている理由。

「それさ、乗ってる人は気づいてないけど、周りには普通に聴こえてるよ」

「ウェヒィ!!!」

突然並走してきた大型バイクに奇声をあげてしまった。

「危ないじゃないっすかさっしちゃん先輩!」

この女はさっしちゃん先輩。

大学で、唯一私が会話する人だ。

高校時代からの先輩である。

「この辺にぃ、朝からドヤ顔で歌いながらゴミを乗り回す女がいるらしいっすよって聞いてぇ、通ってみたらぁ、あんただったのよ」

「じゃけん行きましょうね〜」

さっしちゃん先輩の駆る大型バイクはもちろん現行のもので、タイヤも無ければ騒音もない。

「バイクなんて珍しいっすね。というか持ってたんすね」

私はさっしちゃん先輩がバイクに乗っているのを初めて見た。

「この前のあれで廃車になっちゃったから。新しく買ったの」

あ〜、この前のあれね……。

本当は廃車じゃなくて、臭いが取れなかったんだろうな。

多分。

私の骨董品と違って、さっしちゃん先輩のバイクは、澄んだようなキィーンという音がかっこいい。

フロントからリアへと抜けるようなグラデーションが効いた赤いカラーリングもいかす。

「ああ、これ血だから。洗わないで走ってたらなんか風で伸びちゃって」

こいつ手動運転に魔改造したな。

「というか、それ買うお金持ってたんすね!ブルジョワじゃないですかぁ!」

「広告収入最高!内職最高!覇権やでほんまに〜〜〜〜!」

さっしちゃん先輩が加速する。

私のスクータは当然追いつけない。

眩しさを増していく朝日に、まるでさっしちゃん先輩が吸い込まれて行くようだった。

漫画編 みんなで遊ぶ!

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漫画編 じしんや!

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