ゴミ項目/ウエダシンヤ番外編まとめ

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当項目はクソwikiの使用上更新についていけなくなった本編のページから番外編を抜き出した項目です。
本編はこちら

☆お知らせ☆

日頃のご愛顧、誠にありがとうございます。

ウエダシンヤ先生はこのたび、闘病のため長期入院することとなりました。

ファンの皆様には大変ご迷惑をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

こまり大学生編

わたしはこまり。
ついこの間、高校を卒業したばかりのニュービー。

合格が決まってからの冬休みはばっちり免許も取りに行った。

行っただけで取得できなかった。

130歳の教官を乗せて教習していた時にエンストを起こし車がめっちゃガクガクしたせいで、教官が死んでしまったのだ。

事態を重く見た教習所は「なんか知らんじいさんの死体がずっと前から乗っててエンストの衝撃でシートから出て来た」ということにしたので、実質わたしはおとがめ無しだった。

わたしがあの時、シフトレバーと教官のちんぽを間違えていなければ・・・こんなことには・・・!

そう。 本当はエンストではなく、間違えて握った教官のちんぽがものすごい勢いで射精してめっちゃガクガクし、テクノブレイクしちゃったのだ。

これにはわたしもびっくりしたのだ。

そんなこんなで免許が取得できなかったわたしは、親戚のおじさんから骨董品のような原付バイクを譲ってもらい、無免許で乗り回していた。

堂々としていればなんのことはない。

車に比べればこんなもの、ちゃりんこと一緒や。


大学に入学する前、新しい風学級の先輩たちが、自分たちで会社を立ち上げ、3日で倒産、消息不明になったことを知った。

唯一その騒動に巻き込まれなかったさっしちゃん先輩が、偶然にも同じ大学だったからだ。

「らうすさんとか、いまどうしてるんすかね」

私はサンドイッチをほおばりながら、さっしさんとコンビニの前で話していた。

「さあね。みーんな借金抱えて、いまも逃げてるんじゃないかしら」

さっしさんは大学に来てタバコを吸うようになった。

ずいぶんと大人びて見える。

「そういえばさっしさん、焼き肉屋でバイトしてましたよね?今度行っていいっすか?」

私がそう聴くと、さっしさんはゲホゲホとむせ返った。

「大丈夫っすか?」

「あ〜、あ、うん。ちょっと煙がね。わたしヤニ切れるとまじやべえから」

たしかにやばそうだ。

「そんで、今度友達と一緒に行ってもいいすか?」

今度はエフッエフッとむせ返っている。

「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ヤニくらやべえわ〜〜〜〜〜〜〜〜やべえわこれあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜やばいっぴ」

やばそう。

「あの〜、今度バイト先・・・」

何考えてんだお前いい加減にしろ1??!?!

さっしさんは突然怒り出し、火のついたタバコを5本まとめてぱくっとやってからまた出した。

「ふぅ〜〜〜〜ごめんごめんわたしヤニ切れるとまじやべえんだ」

喫煙者って大変なんだな。

「あの焼き肉屋ね、やめたわ。なんかね、店長がすっごいセクハラしてくんの。わたしとすれ違った時に残り香回収するのやめてほしいわ。」

タバコを灰皿でもみ消しながら、さっしさんはパソコンを取り出す。

「あー、もう昼休み終わっちゃうよ。こまりたそ、次授業?」

「あ、いえ、どうしよっかなーって」

「わたし次1コマ空いてて中途半端に暇なんだよね。もし今日さぼるんならさ、ちょっとぶらぶらしてこない?」

「あ^〜いっすね。マンガ倉庫とか行きましょうよ!」

さっき吸ったばかりなのに、さっしさんはまた新しいタバコに火をつけていた。

「ふーーーーーーーーっ。マンガ倉庫この辺ないでしょ」

おもむろに歩き出したさっしさんについて、私も歩く。

少し行った所に、さっしさんの車が停めてあった。

「ここ学校の駐車場だったんですか?」

「ちげーよw」

これが大学生・・・・! 私は改めて大学生を実感し、興奮した。

さっしさんの車はめっちゃ汚かった。

タバコの吸い殻で山盛りになった空き缶がドリンクホルダーを占領し、レジュメやらバイトのシフト表やら教科書やらが散乱している。

それは後部座席も同様で、よく見るとスーツがしわくちゃで押し込まれていた。

さっしさんは助手席のゴミをがさーーーんと後部座席に放り投げ、わたしに座れと合図した。

なんとか座ることはできたが、足下にはまだ大量のゴミがあった。

「あー。それ踏んじゃっていいから」

さっしさんが乗り込み、バタンとドアを閉めると、後部座席から荷崩れする音がした。

ええい、ままよ!

とりあえず普通に足をおろしてゴミを踏んづけた。

ちらりとさっしさんを確認したが、なんでもないような顔で車のキーを回していた。

「あ〜の〜・・・いつから掃除してないんですか?」

恐る恐る聴く。

「免許取ってから」

すげぇ・・・!

「わたし、掃除って全然生産的じゃないと思うのよね。洗い物なんて、特に嫌い」

「え〜・・・さっしさんてそんな人でしたっけ?」

エンジンのかかる音。

「アプリ作ってる方が、よっぽど生産的よ!」

さっしさんが膝に乗せたパソコンをタタンッと叩くと、フロントガラスいっぱいにナビが表示された。

すごい!こんなのって・・・

「あ〜〜〜〜〜〜くっそ見づらいわ!!!!!!」

さっしさんはそう言いながらアクセルを踏んだ。

ミニマップの影から飛び出して来た学生が宙を舞った。

フロントガラスに血がべったりと・・・

「見づらいつってんでしょ!!!」

さっしさんはワイパーを動かしながら駐車場を出た。

「今度、ワイパーの速度が二倍になるアプリでも作ろうかしら・・・」

ぶつぶつとつぶやくさっしさんは、かなり大学生っぽくて、わたしは改めて尊敬した。

こまり大学生編2

「お、う、おぉ、ぇえぶっ!」

ボロン!

マンガ倉庫についた途端、エアバッグが出るはずの場所から大きな紙袋が飛び出し、こまりのゲロを受け止めた。

「えぇーーーーぶっ!えぇえええぶ!!!!!」

隣ではさっしちゃん先輩も激しく嘔吐していた。

道中は、痛快ながら悲惨なものだった。

フロントガラスにでかでかと映し出されたミニマップがあまりにも邪魔すぎるため、何度も歩行者を跳ね飛ばし

さらにさっしちゃん先輩の運転があまりにも荒すぎるため、目的地についたという安心感がゲロなってこみ上げてきたのだ。

なぜさっしちゃん先輩が嘔吐しているのか分からなかったが、多分ヤニが切れたのだろう。

出発してからしばらくしてさっしちゃん先輩は体中のポケットをまさぐっていたが、学校で吸ったのが最後だったのだろう。

それからは余計に運転が荒くなった。

ちなみに運転している自分が嘔吐することは思いもよらなかったのだろう。

運転席はさっしちゃん先輩のゲボで溢れていた。

めっちゃ臭い。

「あ、先輩のお昼ご飯、ラーメンだったんですね」

「えーーーーーーーーーーーーーーーぶ!!!!!!!!!」

数分後、吐き気が収まった二人はやっと車外に出ることができた。

「あ〜、25番ください」

いまはさっしちゃん先輩のタバコを買いに隣にあったコンビニに来ている。

さっしちゃん先輩は相変わらずゲロまみれだ。

こまりは紙袋があったので大丈夫やった。

「ふ〜〜〜〜〜〜!生き返るわぁ!」

やっとタバコが手に入ってご満悦のさっしちゃん先輩。

5mほど離れて歩くこまりは、やっぱりヤニ切れるとやべぇんだと、改めて確認した。

「あの〜、先輩、先に服買って着替えません?」

おずおずと問いかけるこまり。

煙を吐きながら自分の服を確認し、さっしちゃん先輩は忌々しげに舌打ちした。

「運転席にも、紙袋つけよっかな」

結局さっしちゃん先輩はゲロまみれのまま店内をうろついて追い出された。

曰く、「どうせ帰りも乗るから一緒」とのことだった。

私はとりあえずお目当てのゴーレムフィギュアとコンビニ戦乙女ちあきのフィギュアを見つけて、そっとカバンに入れて店を出た。

ちょろいもんや

店を出ると、ゲロがタバコを吸っていた。店に入る時はちょうど清掃後だったのか、灰皿は綺麗になっていたはずだが、すでに山盛りである。

「そんな吸っちゃったら、帰りにまた無くなりますよ。わたしもうゲロは嫌です」

「お、そうだな」

次の1本を取り出そうとしていたさっしちゃん先輩は、箱の中をちらりと見ると立ち上がった。

「あ〜あ〜あと1個授業あんのにさ〜〜〜〜〜あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜やだもん!!!!!!!!」

先輩、あの格好で授業出る気なのかな。

「よ〜し乗り込め〜!」

バン!ビチャ!

「えーーーーーーーーーーーーーーーーーっぶ!!!!」

すごい勢いで乗り込んで即嘔吐するさっしちゃん先輩。

自分のゲロに座り直す気持ち悪さを想像すると無理も無いか。

「運転代わりますよ!」

バン!ビチャビチャ!

「こ、こ、こ、こまーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

他人のゲロの衝撃は凄まじく、こまりはあっけなく嘔吐する。しかし、その目には揺るぎない決意が映っていた。

「うっぶ…行きますよ先輩!ぶぅーーーーーーん!!!!!」

シフトレバーがバックに入ったままアクセルをベタ踏み!!!!!

こまりとさっしを乗せた車は吸い込まれるように店内へと消えていった。

こまり大学生編3

「死ねおらーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!はい、GG!!!!!!」

わたしはこまり。

新しい風大学の1年生、いや、今年からは2年生だ。

ハイレベルな大学を受験し見事に失敗、滑り止めのカス大学に引っかかった典型的な負け組だ。

変なプライドから大学デビューにも失敗し、いまでは立派なぼっち。

学校から帰ってPCと向き合う時間が増えてから、私はネットにのめり込むようになった。

ああ、私の勝利をたたえる朝日が眩しい!

徹夜でくそ日本人を叩きのめし、気分よく学校へと向かう支度を始める。

「あ〜〜〜〜、メンドクサ……」

わたしは風呂に入ることが人一倍めんどくさく感じる。

特にいまの時期は汗をかくわけでもなく、シャワーですら2日に一回ぐらいの頻度だ。

今日も今日とて徹夜明けの倦怠感が手伝い、洗面台に頭を突っ込んでシャンプーだけで済ませた。

天パであるため、特にセットするでもなく、適当にドライヤーを当てながらわしわしするだけでなんか良い感じにキマる。

高校生の頃は天パが嫌で仕方なかったけど、いまでは便利に感じる。

部屋に戻り、服を選ぶ。

といっても、選ぶのはシャツだけ。

大学に来てからというもの、ズボンとインナーは3日ほど同じものを着続けるようになったため、シャツだけ換えている。

人間関係が極端に薄情になる大学では、誰が毎日同じ服を着ていようと気にするやつはいないのだ。

気にするような友達もおらへんのやけどな。

適当に身支度を済ませ、部屋を出る。

「でりゅっ!!!!!!!!!!!!!」

私は出かける際、アパートの通路で叫ぶのが習慣となっている。

誰かに知っててほしいのだ。

今日も私が生きていることを。

ぶろろろ〜〜〜〜〜〜〜ん!

親戚からもらったくそぼろいスクーターで、早朝の街中をつっきる。

旧世代のものらしいこのスクーターにはタイヤが二つもついていて、しかも液体燃料で走っている。

現代では考えられない、骨董品のような乗り物だ。

でもわたしはこの無骨な感じが気に入っている。

今時、液体燃料で走る二輪車なんてものに乗っているのはよっぽどの物好きか、変人でしかないが、アパートの大家さんである230歳ぐらいのじーちゃんは昔を思い出すといって、頼んでもないのによく手入れをしてくれたりする。

旧世代の道具は、一度壊れるとそれを修理するための部品がもうほとんど無い。

ネットで半端ない値段で売られていたりするが、大家さんは技術革命が起こる前に技術屋をやっていたらしく、部屋の奥に謎の金属部品が詰まった箱が積まれているのを見たことがある。

売っちゃえばいいのになぁ。

とはいえそれに助けられているから、なんとも言えない感じだ。

一度、信号の無い大通りを我が者顔で横断するおばちゃんをわざと跳ね飛ばした時、勢いをつけすぎたせいかどっか調子が悪くなって動かなくなったことがあったが、これも大家さんがいじって直してくれた。

「こ〜こ〜ろ〜ごぉとぉ〜〜〜〜〜〜〜♪」

くそうるさいエンジン音をいいことに、全力で歌いながらの移動は最高に気持ちがいい!

そういう所も、わたしがこの粗大ゴミを気に入っている理由。

「それさ、乗ってる人は気づいてないけど、周りには普通に聴こえてるよ」

「ウェヒィ!!!」

突然並走してきた大型バイクに奇声をあげてしまった。

「危ないじゃないっすかさっしちゃん先輩!」

この女はさっしちゃん先輩。

大学で、唯一私が会話する人だ。

高校時代からの先輩である。

「この辺にぃ、朝からドヤ顔で歌いながらゴミを乗り回す女がいるらしいっすよって聞いてぇ、通ってみたらぁ、あんただったのよ」

「じゃけん行きましょうね〜」

さっしちゃん先輩の駆る大型バイクはもちろん現行のもので、タイヤも無ければ騒音もない。

「バイクなんて珍しいっすね。というか持ってたんすね」

私はさっしちゃん先輩がバイクに乗っているのを初めて見た。

「この前のあれで廃車になっちゃったから。新しく買ったの」

あ〜、この前のあれね……。

本当は廃車じゃなくて、臭いが取れなかったんだろうな。

多分。

私の骨董品と違って、さっしちゃん先輩のバイクは、澄んだようなキィーンという音がかっこいい。

フロントからリアへと抜けるようなグラデーションが効いた赤いカラーリングもいかす。

「ああ、これ血だから。洗わないで走ってたらなんか風で伸びちゃって」

こいつ手動運転に魔改造したな。

「というか、それ買うお金持ってたんすね!ブルジョワじゃないですかぁ!」

「広告収入最高!内職最高!覇権やでほんまに〜〜〜〜!」

さっしちゃん先輩が加速する。

私のスクータは当然追いつけない。

眩しさを増していく朝日に、まるでさっしちゃん先輩が吸い込まれて行くようだった。

この汚らしいアホに祝福を!編

ん・・・ここは・・・。


そうか、わいは死んだんやった・・・。

ガルパンの4DXを見に行って、がたがたってなってそんで・・・。

「ようこそ死後の世界へ!」

薄暗い空間に突然光が射し、正面に美少女が現れた。

「とりあえず輪廻に従うか、異世界に転生するか選んでちょ!」

おいおいねーちゃんちょっと待ってくれや!何の話かさっぱりわからへんで!」

なんやこのねーちゃんは。

突然現れてわけのわからん

「せやから、あんた死んどんねん!映画館でがたがたなる椅子に座って全身粉砕骨折して即死や!プーくすくす!」

この女、人が死んだっちゅーのになんやこの薄情な・・・。

「そしたらねーちゃんが死神かなんかか?わい来世は美半導体に生まれ変わりたいんやけど」

「何言うとんねん!あんたは異世界に転生してえらい強い魔王をしばき倒すんや!うちが決めたんやからもうそうなっとんねん!このカードんなかから好きな装備選び!はよしーや!」

死神女は早口でまくしたてるとどかっと椅子に座った。

あーもうやれやれや!

どうにでもなれい!


3時間後

「あんたいつまで選んどんねん!!!10枚ぐらいしかないやろカード!!!はよせんかい!!」

「いや・・・これもええな・・・」

わいはネトゲのキャラクリに5時間はかける男や。

なんやよう分からんけど、こういうのは最初の選択が肝心なんや。

時間かけて何が悪いねん!

「も〜〜あんたとろいわ!うち女神様なんですけどぉ〜〜〜?あんたみたいな汚らしいアホに使っとる時間はないねん!この愚図!!!」

カッチーン。

これはトサカに来たで〜〜〜〜〜!!

わいは死んどんねんぞ!!

なんでこんな訳の分からん小娘に罵倒されなあかんねん!!!!

「ほな・・・決めたで・・・」

わいはシャキッと立ち上がる。

このアホに一泡吹かせたるでぇ・・・。

「どれやはよ言わんかい!」

「お前や!」

「?」

「お前や!」

「??」

「お前や言うとんねん犯すぞほんまに!!!!!」

まつげの長いぱっちりおめめがカッと見開かれ、思考停止した様子の小娘。

「ゆぴ・・・?ゆぴぴ・・・?」

しばらくすると目がぐりぐりと動き回り、口の端から泡まじりのよだれを垂れ始めた。

「これあかんのとちゃう?」

「いいえ、あなたの選択、確かに聞き届けました!」

え、誰?

上の方からなんやまた似たような感じの美少女がすーーーっと降りて来た。

「私はこの人の後輩女神のウメダと申します。先輩はスイタといいます」

「へ〜ってそんなことどうでもええねん!さっさと異世界とかいう所に送ってや!」

わいが怒鳴ると、わいとスイタの足下に光の円陣が現れた。

「先輩の非礼はお詫びします。どうぞ向こうの世界で使ってあげてください」

先輩に対して偉い冷たいなこいつ。

「・・・!ちょっとウメダ!なんしとんねん!なんでわいまでぐるぐるんなか入っとんねん!」

「らうすさんが、先輩を持ち物に指名したので・・・」

「どあほーーーーーーー!」


その途端、ばーってなってがーなってぼーんなったと思ったら、そこは、見たことも無い世界だった。


「はー、どうなってんだこの世界は・・・おい、説明しろアホ」

「ゆぐおーーーーー!」

だめだこいつは。

ここに到着してからずっとこうだ。

口からつばを飛ばしながら髪の毛を振り乱し、一心不乱に空に向かって叫んでいる。

この世界についてからまず最初に訪れた変化は、なぜか言葉が標準語になってしまうことだ。

おれとしては普通にしゃべっているつもりだが、勝手に標準語になってしまう。

なんとも気持ち悪い。

「ぎゅおーーーーーーーー!!!」

ルールブックであろうこの女もこの調子だ。

やれやれ…

とりあえず、街を散策してみよう。

歩き出すと、スイタは突然真顔に戻りおれの後をついて来た。

「ちょっと待ちなさいよ!あんたこの世界のこと何も知らないでしょ!」

なんなんだこの女は…

コホンと咳払いをし、スイタがこちらに向き直る。

「いい?ここは『新世界』と呼ばれる世界よ。あそこを見て」

スイタの指差す方に視線をやると、雲を突抜け遥か彼方まで続く塔がそびえていた。

「うわ・・・でかいな。ファンタジーみたいだ」

「あれは『ツー・テンカクタワー』よ。この世界の中心と言われているの」

「あなたはいいかもしれないけどねぇ!私はこんな世界まっぴらごめんよ!私はおうちに帰りたいの!分かる?Do you understand!?」

それから息をつく間もなくスイタはしゃべりまくった。

要約すると、自分は女神で、大豪邸に住んで毎日遊んで暮らしていたんだとか。

「知るかアホ!帰りたいなら勝手に帰ればいいだろ!おれはせっかくの第二の人生、楽しませてもらうからな!」

ただでさえ混乱している所に、こんなアホと会話していると余計イライラしてくる。

おれはスイタに背を向けて歩き出した。

後ろでギャーギャーわめいているが、ついては来ないようだ

「おう兄ちゃん!新参者か?」

屋台からがたいのいいおっさんが声をかけてきた。

「あ、はい。なんかよく分かんないうちにここに来ちゃって…」

「そういうやつが来る街なんだよ、ここは。とりあえず、これでも食いな!」

そう言っておっさんは、熱々のたこ焼きを差し出して来る。

「いえ、でも、お金無いんですけど…」

「いいんだよ!最初は誰だってそうさ!おれたちは、お前みたいなやつらには慣れてんだよ」

「そういうもんですか・・・じゃあ、ありがとうございます」

たこ焼きを受け取り、口に運ぶ。

ほふほふほふほふ!

うまい!

「お、食ったな。よーしじゃあこっちに来てもらおうか」

「ほふ!?」

おれの太ももよりも太い腕に捕まれ、おれはなす術もなく、路地の奥へ引きずられて行く。

ふいに看板が目に入る。

『ジャンジャン横丁』

ああ、おれはどうなってしまうんだろうか・・・。

「おら!ここでおとなしくしてろ!」

乱暴に放り込まれたそこは、簡素な牢屋のような部屋だった。

「ちょっとこんなの・・・!」

抗議しようと柵に取り付くも、おっさんは見向きもせずに行ってしまった。

おい!待てよ!」

「うっせ、うっせーなわっかんねえやつだな!?」

え、誰?

突然背後から怒鳴られ、咄嗟に振り返る。

そこには全裸の男が壁によりかかってうなだれていた。

いや、全裸ではない。

股間には大きめの葉っぱが一枚・・・

「お前も、閉じ込められたのか・・・?」

「あー嘆かわしいわ。ほんま嘆かわしいわ」

男はゆらりと立ち上がる。

「わいはミック。お前もほいほいたこ焼き食うて連れてこられたんやろ?アホや」

「お、おい!お前、関西弁をしゃべれるのか・・・!」

「どアホ!人が名乗ったら自分も名乗らんかい!」

ミックはこの世界でも関西弁をしゃべっている・・・なぜだ!?

「あ、お、おれはらうす!らうすだ!」

「らうすか・・・。教えたるわ。わいがなんで関西弁をしゃべれるか、それはわいが『ルネの民』やからや」

「ルネの民・・・?」

再びミックは壁にもたれかかる。息も荒く、ここに来てかなりの時間が経っているのだろう。

「せや。わいらルネの民はこの街の干渉を受けへんねん」

ミックの話をまとめると、この街、ジャンジャン横丁は特殊な結界が貼られているため、関西弁がしゃべれなくなるそうだ。

関西弁を奪われた関西人は本来の力を発揮できず、されるがままになってしまうらしい。

「それにしても、ルネの民であるお前がなぜここに?」

「・・・この街で数日前、『オフ会』があったんや。わいもそこに潜り込んで、どうにか女の尿を飲んでやろうと、秘密裏に動いとったんや」

ミックの股間の葉っぱが風に揺れる。

「ところがぎっちょん、それ自体が罠やったんや。」

「罠だと?一体何のために・・・」

「わいのような異常性癖者を捕まえるためや・・・!ほんまに汚いであいつら!」

ミックの股間の葉っぱがはらりと落ちた。

そこにはホタルイカのような・・・

「これ、寒くて縮こまっとるだけやけど、ほんまはもっとごついで?」

誰に対しての言い訳だ・・・!

『イグニッション!!!!!!』

ぼぉん!

わぁ!

突然すごい爆発が起きて、おれは、びっくり、した。

わぁ〜〜〜〜〜〜!

「すごいや!檻が吹き飛んでるよ!やったー!」

元気になったミックは喜びいさんでまだ収まらない土煙の中へ消えて行った。

「一体何が・・・」

「あんた!こんな所にいたの!全く手間かけさせてくれるわ」

土煙の中から、スイタが現れた。

「お前・・・」

「話は後!今はここを出るわよ!」

スイタに手を引かれ、おれはよろめきながらも走り出す。

「あーあかん!!!!!曲がれへ」

後ろからミックの声がしたが、やつなら大丈夫だろう。

「ここまで来ればもう大丈夫そうね・・・」

息を切らしてスイタを見る。

「やらしい目で見ないでよね!本当なら私一人でも帰れるのに、あんたが私をオプションとして指名したせいで!あんたがいないと帰れなくなったのよ!お供キャラみたいなもんよ!」

つまりおれが主人公・・・。

「・・・とりあえず、今日の宿を探そうぜ」

そう言いながら立ち上がると、おれの足下に何かが落ちた。

「これは・・・」

ミックがつけていた葉っぱだった。

服にくっついてきたのだろう。

まだみずみずしく、シャキシャキとした歯ごたえが癖になりそうだ。

「うわ、あんた何食べてんの?葉っぱ?」

「さっき会ったルネの民がつけていた葉っぱだよ。うまいぞ」

ほんのり香るアンモニア臭はミックのものだろうか。

これがまたいいエッセンスとなっておれの鼻腔を刺激する。

「ルネの民に会ったの?関わらない方が良いわよ」

「え?」

まだ咀嚼の途中だった葉っぱを一気に飲み下す。

「ルネの民には変人が多いの。私が一度会ったことのあるルネの民は、ずっとぶふぉぶふぉ言ってて気持ち悪かったわ」

そうだったのか・・・そんなやつと二人きりで閉じ込められていたなんて、今考えるとぞっとする。

こまり大学生3編

わたしはこまり。

大学デビューに失敗した、どこにでもいる普通の女子大生。

しかし今はちょっと訳ありで、のんびりあらすじを語っている暇がない。

「あけんかいコラァ!!」

「やだーーーーーーーーーー!!!!!」

「あけんかいコラァ!!」

「やだーーーーーーーーーー!!!!!」

私の部屋のドアをこじ開けようとしているのは、借金取りのおっさんだ。

もちろん私は借金などした覚えは無いし、そのことを言っても全く聞く耳を持たず、ずっとこの調子なのだ。

「あけんかいコラァ!!」

「やだーーーーーーーーーーっぼ!!??!」

ドアを押さえる腕に力が入らなくなってきた。

全く身に覚えの無いこととはいえ、こいつを部屋に入れちまったが最後、きっとエロ同人みたいな展開になるに違いない。

やだよ、私・・・やだよ!

バァン!

「手間かけさせやがってこのアマぁ!!」

「ひっ!ひいいいいいいいいいいいいいい!!!!」

おいおい、けっこういい身体してんじゃねえか!! その身体使って金返しな!!」

ほらあも〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜やっぱり〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!

わたしけっこういい身体しちゃってるからさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

「陵辱は嫌だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

無駄なあがきと知りつつも、残った力を振り絞り、ずるずると部屋に逃げる。

「なんだそりゃあ・・・ケツ振って誘ってんのかぁ〜???」

おっさんがニチャニチャと笑いを浮かべながら、ゆっくりと追って来る。

もうだめだ・・・きっとこれから種付けプレスされて獣啼きさせられちゃうんだ・・・。

諦めかけたその時!!!!

スタッ!

突然押し入れの襖が開いた!!!

「誰だ!?!?!?」

誰もいない!!!!!

いや、紫色のなんか虫みたいなのが出て来た!!!

そいつは、シャカシャカとおっさんの足下へ向かっていき・・・

トランスフォーム!!!!!

ドリルのような形に変形したかと思うと、そのままおっさんの足に突っ込んだ!!!!

「いてぇ!!」

相当痛いのか、たまらずたたらを踏むおっさん。

しかし、その足下にはまたあの虫が!!!!

トランスフォーム!!!!!

ドリルのような形に変形したかと思うと、そのままおっさんの足に突っ込んだ!!!!

「いてぇ!!」

見れば、押し入れの中から続々と紫の虫が現れ、おっさんの足に向かって突撃していく。

うろたえるおっさん。

そして、だめ押しと言わんばかりにちょっと大きめのやつが出て来た。

「あかーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!!!!!!」

そいつを見るや否や、おっさんは片足でぴょこぴょこしながら部屋を飛び出して行った。

「こ、これは・・・」

「ういいいいいいいぃぃぃぃいいいいっっす!!! 大丈夫かこまり〜?」

おっさんと入れ違いに現れたのは、さっしちゃん先輩だった。

「先輩!! どうして!?」

「ふふん、この前あんたの部屋に遊びに来たとき、ちょうどできたばっかりだった防犯アプリを試しに設置しておいたのよ!! 作動と同時に私に連絡が来るように設定しておいたのよ!! まさか、こんなに早く成果が出るとはね〜〜〜〜〜〜!!!!!!!! Appstoreに出品します」

ッターン!

なるほど。

このへんてこな虫はさっしちゃん先輩のアプリだったのか。

標的を失った虫は、ぞろぞろと押し入れの中に戻って行く。

傍目にはくそきもい。

「それより、今の男はなんだったの? 強盗? レイプ魔? 親父さん?」

いつの間に火をつけたのか、さっしちゃん先輩の口から紫煙が吐き出される。

「借金取りです。 私、借金した覚えなんてないのに・・・。 警察に言った方がいいですよね」

「そうだね〜・・・っと。 やれやれ、私のところにも、お客さんが来てるみたいよ」

「え?」

さっしちゃん先輩がMBP(MacBook Pro)の画面を見せて来る。

どうやら、さっしちゃん先輩の部屋の前に設置されたカメラからの映像のようだ。

カメラには、粗暴にドアを叩くいかつい男が映っている。

さっきの男ではないが、この感じから言って同じ用件で訪れているのだろう。

「私も借金なんてした覚えは無い・・・だけど、天才の私はピンと来たわ」

「どういうことですか!?」

さっしちゃん先輩が決めポーズをとる。

「私たち、らうすさん達の連帯保証人にされたのよ」


キキーーーーーーー!!!!!

バンッ!!!!!!

「「エーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッヴ!!!!!!!!!!」」

私たちはすぐに部屋を飛び出し、さっしちゃん先輩のバイクで以前らうすさん達の会社があったというビルに来ていた。

バンッ!!!!!!という音は、人をはねた音だ。

「うぉえ・・・こ、ここが例のビルですか」

「そうよ。 私も来ないかと誘われた時、ここの住所が送られて来たの。 フレックスタイムじゃなかったから蹴ったけどね」

「それ正解ですよ」

一応、看板を確認するが、当然そこには株式会社新しい風の名前は無かった。

「管理者に問い合わせてみましょう。 なにか分かるかもしれないわ」

ぷるるるるるるうるるr

『はい管理者です』

「実はかくかくしかじか」

『あ〜、新しい風さんねぇ。 なんか、パソコン音痴の社員さんが会社のソースコードを全部消しちゃったらしくて、一瞬でつぶれてたねぇ。 けっこうやばい所から資金調達してたらしくてねぇ、夜逃げみたいなもんだったよ』

「では、その人達の行方までは分からないと・・・」

『そうだねぇ〜〜〜〜〜・・・あ、そういえば、夜逃げする前日に「おいどんはもう帰るでごわす!!!」って叫び声が・・・』

「ありがとうございます」

ぷーぷーぷー

「やはり鹿児島か」

「私も同行します!」

「ちょっと待ちなぁ!!!!」

突然、上空から男が降って来た!!!!

新しい風・・・たしかにそう言ったな?」

男は黒のスーツにサングラス、そしてぱねぇリーゼントをしていた。

「話がはえぇ・・・きっちり耳そろえて返してもらうぜ!!!」

ゴォッ!!!!

男が風を巻き上げて突進する。

「せ、せんぱい!」

狙いはさっしちゃん先輩のようだ!!!

ガイィィィン!!!!

「せんぱいいいいいい!!」

「あ〜もう、うるさいよ、こまり」

なんと、さっしちゃん先輩は無事だった。

「ふん、やるじゃねえか」

「あんたもね」

見ると、さっしちゃん先輩の身体を覆い隠すように、バリアのようなものが地面から生えていた。

男の突風のような拳はこれに遮られたのだ!

「おぉん!!!!!」

いつの間に打撃体勢に入っていたのか、男の第二撃が打ち込まれる。

ガッイイイイイン!!!!!!

その衝撃がびりびりと伝わって来る。

「さてはあんた、文系だな?」

さっしちゃん先輩が拳を振り抜くが、それは全くの空振りであった。

「あぁ・・・? なんだそのくそみてぇなパンチはあっぼ!?!?!」

さっしちゃん先輩が拳を振り抜いた数秒後、何も無い空間から巨大な腕のようなものが現れ、無防備だった男を殴り飛ばした!!!!

「あーくそ、まだラグが出るわね〜・・・」

何が起きたのか分からない男は、ふらふらと立ち上がる。

「てめぇ・・・こいつを喰らえ!!!!!!!」

男が消えた・・・と思った刹那、凄まじい衝撃音とともに、さっしちゃん先輩のバリアが弾け飛んだ!!!!!

「おおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!」

間髪を入れずに殺到する拳!!!!

さ、さっしちゃん先輩いいいいいいいいいい!!!!!!!

ぶんっ!

「・・・あ?」

スローモーション。

わたしにはその瞬間がそう見えた。

まるでアニメのワンシーンだ。

男の拳は、たしかにさっしちゃん先輩を捉えていた。

しかし、その拳は、さっしちゃん先輩をすり抜けていた。

「これだから文系はよ〜」

さっしちゃん先輩が、しゅっと拳を振り抜く。

そして、巨大な拳が何も無い空間から現れ、男を地面にめり込ませた。

「うわぁ〜やられた!」

男は死んだ。

「せ、せんぱい・・・?」

「驚いた? これはね〜、拡張現実、ARアビリティ。 VRの逆バージョンと考えてもらえればいいわ。 私の半径5m以内にはAR空間が展開されててさ、その空間内に大気中を飛び交う様々な電波みたいなやつを取り込んで電気信号に変換し、空間内の人間の脳に送信することで、強制的にAR体験をさせているの。 人間の脳には無限の可能性があるわ。 実際に殴られたわけでもないのに、それを現実であると誤認識させた途端、身体にダメージを受けるんだから。 バリアがあると思い込んで勝手に攻撃を止めるし、私の位置情報をずらすと身体を通り抜けたように見えるの」

「それもアプリですか?」

「これもアプリよ」

戦いの火ぶたが、切って落とされた!!!!!!!!

賢いふくろう編

博士「やはりカレーは絶品なのです。 毎日食べても飽きないのです」

助手「グルメで賢い我々にふさわしい料理なのですよ」

モリモリ モリモリ

サーバル「毎日毎日、よく飽きないよねー!」

かばん「最近は本を見なくても作れるようになっちゃいました」

助手「それだけではないのです」

博士「料理の要領がうまくなったことで、味も格段に良くなってるのです」

助手「褒めてやるです」

サーバル「なんでそんな偉そうなのー!? ちゃんと感謝しなきゃダメだよ!」

かばん「まあまあサーバルちゃん・・・ぼくも作るのが楽しくてやってるから」

助手「ほれみろ」

博士「我々はかばんがどうしても作りたいと言うから、食べてあげているのです。 ウィンウィンの関係なのです」

助手「ドゥーユーアンダースタン?」

サーバル「うみゃ・・・みゃ・・・うみ・・・う・・・」

かばん「サーバルちゃん! みんみしちゃだめだよ!」

サーバル「み・・・み・・・み・・・」

博士「おお、こわいこわい」

助手「やるですか? やるですか?」

博士「ふぅ、これだからさばんなちほーの野蛮フレンズは困るのです」

サーバル「みんみ!」ボコォ

博士「う”っ」

かばん「あーーーーーーー!!!」

助手「博士ーーーーーーーー!!!」

博士「」プルプルプル

プゥ

サーバル「え”んっ!!!!!!!!」

かばん「!? サーバルちゃん!! ってクッサ!! なんですかこれぇ!」

助手「ぐっ・・・この臭いは一体・・・!?」

博士「・・・」プルプル

助手「!」

かばん「くっさ!!!・・・って、博士大丈夫ですか!?」

博士「こ・・・これしき・・・平気なの・・・です」

色々なフレンズ「「お〜い、なんの騒ぎだ〜?」」

博士「な、なんでも・・・ないのです・・・なんでも・・・」

プゥ

フレンズ「「くっさ!!!!!!!!!!!!」」

博士「・・・!!!」

助手「ぐほぉ・・・は、博士、ひとまずここは・・・」

博士「う、うう・・・!」バサバサ

うわーくせー! くっさい! なにこれー! ワイワイガヤガヤ……

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

助手「・・・博士」

博士「一人にしてほしいのです」

助手「・・・」

博士「私に近づくと臭いのです。 助手もそう思ってるでしょう?」

助手「・・・どうやら我々は、本来の食生活から逸脱してしまったことで、体内の環境が悪くなってしまったようです」

博士「・・・」

助手「博士だけではありません。 私も最近、自分のおならや便の異臭に気づいていたのですよ」

博士「助手はまだいいのです。 私は公衆の面前で、失態を晒してしまったのです。 今頃は、くっさい長、略してクッサとでも呼ばれているに違いないのです。 もうおしまいなのです。 これまでに築き上げて来た長としての何もかもを失ったのです。 どうせ私はおならのフレンズなのです。 分かったらもうほっといてください」

助手「は、博士・・・」

クッサ「今日からは、助手が博士なのです。 あとは、任せたの・・・です・・・うっ・・・うう・・・・グス」

助手「・・・・・・・・・」

助手「博士、私が、博士を助けるのですよ」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

サーバル「あ! クッサの助手!」

かばん「ちょ、ちょっとサーバルちゃん! そんなこと言っちゃだめだよ!」

サーバル「え〜〜〜〜〜〜!? だって、みんな言ってるよ? くっさい長はクッサだって!」

助手「・・・」ズイッ

サーバル「・・・『狩りごっこ』、したいの・・・?」

助手「・・・」プゥ!

サーバル「っぴ!!!!!!!!!」

かばん「あああああああああサーバルちゃん!!!!!ってくっさ!!!!!」

助手「ふふ、実はあの時のおならも、私がしたものだったのですよ」

かばん「な、なんですって〜〜〜!?」

助手「みんなの前で博士に恥をかかせることで、私は博士の座を手にすることができたのです。 博士もすっかり引きこもってしまって、私は長を独り占めできるのですよ。 おっと、これは絶対みんなには言ってはいけないのですよ。 絶対絶対秘密なのです」

かばん「うう・・・サーバルちゃん・・・・」

サーバル「」

アライ「(大変なことを聴いてしまったのだ・・・!)」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

助手「博士」

クッサ「・・・私をからかいにきたのですか」

助手「・・・博士、もう大丈夫なのですよ」

クッサ「助手には私の気持ちは分からないのです。 早くあっちへ行くのです」

助手「・・・それでは、さようなら、博士」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

サーバル「博士ー!ごめんねー!」

アライ「まさか助手があんな悪いやつだったなんて、びっくりなのだ!」

ヒグマ「卑怯者め・・・許せない!」

博士「・・・? 一体、なんのことなのです?」

かくかくしかじか

博士「・・・!!!!」

博士「(それで、助手は出て行ったのです・・・そうとも知らず私は、なんてひどいことを言ってしまったのです・・・う、うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ)」ポロポロ

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

助手「博士・・・」

助手「見るからにだめで、なんで生まれたかも分からなかった私を受け入れてくれて、ここまでたくさんの知識をくれて」

助手「ありがとうなのです。 元気で」

fin

こまり異世界転生編

「え〜っと・・・ここは?」

気がつくと、真っ白な空間にいた。
正確には、純白と見まがうほどに輝く空に浮かんだ、足場のような場所。

「はは、参ったな・・・」
辺りを見回すも、そこには大きな雲と、なぜか無数に飛び回る真っ白なフクロウだけがあった。

これは、夢か?

そう思い、今なら空でも飛べるんじゃないかと足場の淵に歩み寄った時だ。

「あぁ! 危ないですよ!」

足場の中央に突然光の柱が立ったかと思うと、その中から声が聞こえ、続いて女の子が現れた。

「お、おっとっと」

あっけにとられてバランスを崩す。

「ファイットォ〜!」

間一髪、女の子がおれの腕を掴んでくれた。

「いっぱぁ〜つ!」

タウリン1000mg配合だ。

「全く、さっき死んだばっかりなのに、また死んじゃう所でしたよ!」

女の子はため息まじりにそう言った。

え、さっき死んだ?

誰が?

「え〜っと、こまり、さんですね。 あなたはついさっき、歩きスマホをしていて車に撥ねられ即死しました」

「あの〜、え? え、ちょっと何を言ってるか分からないんですけど・・・」

意味不明な夢だ。
最近ちょっと、異世界転生もののアニメを見すぎたかな。
でも、この子は悪くない。
色白の肌、腰まで伸びたシルバーブロンドのツインテールに、澄んだような青い瞳が良く映えている。
そして何よりも、たわわに実った二つの果実がとてもおいしそうだ。

「これって、多分夢なんですよね? 明晰夢ってやつかな? じゃあエッチなことしても大丈夫ですよね?」

身体のごく一部に、血液が集中していくのが分かる。

「な、何言ってるんですか! この変態! ろくな死に方しませんよ! ・・・ってもう死んどるやないかい! っぷ、うぷぷぷ!」

自分で言ってツボに入ってしまったようだ。
貞操の危機が迫っているというのに、呑気なやつだ。

「あは、あははっ、ひぃ〜! ・・・エッフ、失礼しました。 とりあえず、一旦落ち着いていただきますね。 テンションコントロール!」

女の子が何か唱えると、おれの身体が一瞬光に包まれ、なぜか激萎えした。

「落ち着きましたか?」

「はい。 今はもう死にたいです」

「っぶ! くくっ・・・だ、だからもう死んで、死んでるんですってっひぃ〜!」

またツボに入ってしまった。

〜5分後〜

「コホン! え〜っとですね、つまり、あなたは死んで、ぷっ・・・し、死んでしまったの、で、しゅ! くくくっ・・・!」

「いやもうそれいいですよ! 笑いの燃費いいですねあなた。 話が進まないんでいい加減にしてください」

「す、すみません。 はい、え〜、今あなたがいるこの場所は、ちょっと特別な所なのです」

たしかにこれだけ神秘的な雰囲気があれば、特別な所だというのもうなずける。
でも、おれが聴きたいのはそこではない。

「あの、結局おれが死んだ死んでないっていうのは」

「あー、まあ確かに受け入れがたいとは思いますが、先ほど申し上げた通り、あなたは死んだのです。 夢でもなんでもありませ
ん」

「マジすか・・・? じゃあ、ここは天国・・・?」

にわかに信じがたい。
信じがたいが、さっきの光を浴びたせいだろうか、思考がクリアになり、少しずつ記憶がフラッシュバックし始めている。

学校に行く途中。

かんぱにで、なしきクジを引きながら。

突然のクラクション。

一瞬見えた空、コンクリート。

おれは・・・。

「死んだんだ・・・」

視線を落とすと、足下にはいつの間にか、ぼろぼろになったスマホが落ちていた。

「思い出せましたか?」

「はい・・・。 本当に、死んだんですね、おれ・・・」

「そうです。 しかし、あなたは死の直前、最期の善行を行いました。 そのため、今この場所に立っているのです」

「善行・・・? 一体、おれが何をしたんですか?」

「あなたが車に撥ねられたことにより、車の進路上にいたバッタが助かったのです。 ぎりぎりでしたね。 この善行が無ければ、あなたは普通に自業自得地獄へ落ちていました」

あまりにも悲しすぎるだろその善行。
それにしても、すごいリリックだ。

「自業自得地獄行きを免れたあなたは、ここで一度だけチャンスを与えられます。 このチャンスを逃すと、自業自得地獄行きになります」

「気に入ったんですか? 自業自得地獄」

「ぶふっ・・・! あ、あなたに与えられる、チャンスとは、新たなせ、世界へ転生するという選択肢で、す。 残念ながら、元の世界で生き返るということはかないません。 平和が脅かされる世界で善行を積み、前世の罪を清算し、その死後に輪廻へ戻るための転生なのです」

話を聞き終わる頃、正直おれのセンチメンタルな心はとてもウキウキとしたものになっていた。

だってそうだろ!?

夢にまで見た異世界転生、それが現実のものになるんだぜ!?

迷うまでもなく、おれの答えは決まっている!

「じゃあ転生します。 自分、異世界でガンガン善行積みたいんで」

「あなたなんかキャラ変わってきてませんか? まあいいでしょう。 それでは、転生する前に、あなたには少しだけ祝福を授けます。 いきなり異世界へ行っても、ご飯とか水とかで身体壊してすぐ死んでしまうので。 ゴッドブレス!」

「ガッツリ祝福お願いしますよ、ガチで」

先ほどよりも強い光に身体が包まれる。

「あ、このスマホって、直してもらえませんか? 向こうでも使いたいんですけど」

祝福されるついでに、なんかひとつアイテムももらっておきたいと思い、ダメ元でスマホを拾い上げてみる。
そういえば最近見た異世界アニメも、スマホで無双してたんだよな。

「え? う〜ん、ダメなことはないですけど、向こうにはインターネットとかないですよ? 充電だってできませんし」

「神様的な力で、どうにかなりませんか?」

「ごめんなさい。 私、神様ではないので・・・。 天使的なやつです」

現実は非情である。
さすがにスマホで無双はさせてもらえないか・・・。

光が消えても、自分が強くなったような感覚は一切無く、本当にただ健康面でバフされただけのようだった。
ダブルショック。

「では、いよいよ向こうの世界は行ってもらいます。 ああそうだ、向こうに行く際、10歳からですが年齢を選んで転生できますよ。 といっても、自分が死んだ歳までの間、つまりこまりさんの場合は10〜17歳までの間で選んでいただくことになります。 ・・・え、つまりこまりってぶふっっ!!」

「子供からやり直すのも面倒なので、17歳からでお願いします」

おれはもう触れないことにした。
話が進まないからである。

「あっひ、あひぃ〜!くっくっ・・・わ、分かりました。 それでは・・・ワールド・トランスファー!」

またもやおれの身体が光に包まれる。
光に包まれ過ぎだろ。
もう一生分は光に包まれた気がする。

「向こうでも、がんばって善行を積んでくださいね〜!」

「ちょ、ちょっといきなりすぎませんか!? まだ聴きたいことが」

「なんとかなります! きっとなんとかなりますから! そのための祝福です!」

「せめて・・・君の名前だけでも!」

光が輝きを増し、どんどん視界がぼやけていく。

「あら、ちょっとロマンチックですねこまりさん」

女の子の姿はもう見えず、声だけが、最後に聴こえた。

「私の名前は、オナです」

||| to be continued >